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ころりさんさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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221.  プライベート・ライアン 《ネタバレ》 
公開直後、初めて見た時の感想は、圧倒的な冒頭30分に「とんでもないものを作りやがった」と思いつつも、その後のライアン救出作戦の非合理にどうしてもついて行けず、ラストの星条旗の愛国主義っぷりに辟易したという思いで(あと、いつもよりも冴えないジョン・ウィリアムズの音楽と共に)、いい印象を持たないまま一度も再見せず20年近く経っていました。ところが昨日『ダンケルク』を見て、その「ヌルい」感じが引っかかって、この映画を思い出し、冒頭30分だけでもと思って再見したところ、あれよあれよとハマってしまい、最後まで見てしまいました。このドラマ、やはりライアン救出作戦をどう解釈するかがポイントなんだと思うのですが、今回見て気づいて、ゾーっと恐ろしくなったのは、劇中、ライアン救出作戦は「広報ミッション(public relations mission)」だと説明されていること。ということは、この英雄譚は「宣伝(というかプロパガンダ)のために」用意されたことであり、トム・ハンクス扮するミラー中隊長もそのことをちゃんと理解しているのだ。このなんとも非合理な作戦の目的は、「母親に4人目の息子を送り帰す」ことで国内の士気と戦争への支持を保つこと、その1点なのである。イーストウッドが『父親たちの星条旗』で描いたプロパガンダと戦場の乖離というテーマを、この映画は戦場を舞台に描いて見せる。一見すれば、1人の無名兵士を救うために命をかける男たちの英雄物語でありながらも、その底辺には作戦そのものの空虚さと、その空虚を自認しながらもミッションを完遂しようとするミラーの「軍人」としてのあり方にどうにも複雑な思いを描く。だから、この映画に簡単に「感動」してしまってはダメだし(それじゃあプロパガンダと同じだ)、容易に「感動」できないようにスピルバーグはあえて作っているのだろう。ウィリアムズの音楽が冴えないのも、その両義性ゆえだ。彼の音楽は、こうゆう物語には明らかに合ってない。ラストにある色あせた星条旗の意味も、最初に感じた愛国主義なんかではなく、戦争で命を落とした多数の名も無き兵士たちへの鎮魂(彼らが守ろうとしたのは、ライアン家が象徴する無数の平凡な家族だった)と、それでも戦争を遂行する国家の非合理・不条理を象徴するものになる。スピルバーグの恐るべき傑作。
[ブルーレイ(字幕)] 10点(2018-01-13 17:55:53)(良:3票)
222.  ダンケルク(2017) 《ネタバレ》 
3つの時間軸、3つの現場から描くダンケルク撤退戦。戦況に関する解説も最低限なので、限定されたシチュエーションのなかで展開する脱出劇として見るべきなのかな。個人的には、『ゼロ・グラビティ』系の映画と期待しての鑑賞。でも、それにしては、物語のなかのぐっとくるポイントが背景知識に頼ってる部分が大きい。脱出できる兵士の数、チャーチルの演説、民間船長の愛国心、帰還兵への市民の対応など、その感動は物語に内在したものというよりはイギリスの第二次世界大戦史の知識があってこそ増幅するもののようにも思えるし、その内容は人間性の根源に迫るというよりは、愛国心やらそっち系に振れていて、あまり深みを感じない。台詞や背景説明を極力廃して、シーンの描写だけで描いてきた物語の感動ポイントが、結局は背景知識がないと盛り上がれない、というのは単に戦略として失敗しているのではないか。その点、同様に台詞や背景知識ではなく、ほぼ映像描写だけで感動まで持っていった『ゼロ・グラビティ』は凄かったと再確認できる。あと、サスペンス自体の単調さもマイナス。敵軍に襲われて水没しそうになって壁やドアをドンドンする展開の繰り返しは、実際の戦闘がそうであったとしても、この凝ったシチュエーション映画としては、もうひと工夫できたのではないかと思える。異なった時間軸の交錯は面白い試みではあったと思うけど、時間軸が気になると映画への没入感を損なってしまう側面もあり、この映画ではあまり成功しているとは言えない。戦争なのに妙にキレイな映像も含め、映画のテーマ・素材とノーラン監督の得意分野が合っていなかったように思えます。
[ブルーレイ(字幕)] 4点(2018-01-12 11:42:25)(良:1票)
223.  ブレードランナー 2049 《ネタバレ》 
公開終了間近に映画館で見られてよかった。ドゥニ・ヴィルヌーヴは『ボーダーライン』での絵作りがとても印象的だったので、期待通りのオリジナルな(でも前作ファンを怒らせない程度の共通項を持った)絵が満載で、定番の混沌とした都市だけでなく、冒頭の「農場」から、ラスヴェガスの廃墟、廃棄場、ラストの海から雪までどのシーンも美しい。この点では、2D字幕だったのが悔やまれる。本当はIMAXで見たかった。そして、この絵のなかで展開されるストーリーが本当に切ない。ライアン・ゴズリングはあまり好きな俳優ではないけど、彼にここまでどっぷり感情移入できるとは驚き。自身の存在を否定しながら生きてきた彼が、「自分は実は何者かであるんじゃないか」という思いを抱くことで生まれる残酷な物語。でも、その物語の顛末で「特別ではない生」を受け入れる姿は本当に美しい。遅いテンポもシーンへの没入感づくりという意味では正解。正直『ブレードランナー』1回目でこんなにエモーショナルな体験をするとは思ってもみなかった(前作で、「感動」できたのって何回目だったろう)。一方で、会話シーンなどの描き方にはやや不満あり。ウォレスの登場シーンは恥ずかしいくらいの過剰演出だし、デッカードとKの対話シーンは退屈。ただ、ジョイとラヴの登場シーンはテンポも演出もよかったので、単にヴィルヌーヴ監督(あるいは私)の趣味の問題かもしれない。いずれにせよ、失敗する姿しか浮かばなかったクレイジーなプロジェクトでここまでできればOKでしょう。十分に新しい映像体験だったと思います。
[映画館(字幕)] 8点(2018-01-05 15:48:53)
224.  スター・ウォーズ/最後のジェダイ 《ネタバレ》 
新しい時代の『SW』をという志としては、高く評価したい1本。いろんな雑音や圧力があったであろうなかで、脚本も自身で手がけたライアン・ジョンソンの「俺のスターウォーズ」をやりきった感には素直にすごいと思う。「SWならこうあるべき」をことごとく潰していく話の展開も、レイの「平凡すぎる出生の秘密」も(これは絶対このままであってほしい)、欧米人が持つステレオタイプの逆を行く「ぽっちゃり系」ローズの設定も、ファンの神経をわざわざ逆なでしながらも、旧世代の退場とレイとカイロ・レンの新世代へと新しい物語を開くという2作目の困難なミッションをしっかり果たした点ではすばらしい。EP7でJJエイブラムスが(いつものように)無責任に広げた風呂敷を、閉じるどころかビリビリに破り去って捨ててしまうような手腕には素直に感心した。 ただ、この作品で評価できるのはこの点だけだ。SW8作目としては評価できても、SF映画としては致命的に面白くない。ダラダラして前に進まないミッション、銀河を舞台にした大戦争のはずが繰り返されるのはちまちまとしたスケールが小さく回りくどい戦い、どんでん返しを繰り返してどうでもよくなる脚本、ぬいぐるみ販売しか頭にない物語上無意味な新キャラクター(ケアテイカーに何かを期待した私が馬鹿だった)、少年漫画並みのフォースの後付け新設定・・・。大不評のEP1〜3ががんばって描いた「政治」の要素は今回出てくるかと思ったけど、その影は今回もなし。結局のところ、ライアン・ジョンソンは「壊し屋」としては困難なミッションを成し遂げたかもしれないが、その先にあるはずの「世界観の(再)創造」に全く期待が持てないのだ。EP7を見たとき、これから同じような話を繰り返していくのかなあと不安になった。本作は、その不安を打ち破ってくれたのは間違いない。でも、その先にあったのが「無」だった・・・というなんともホラーな気分に今は苛まれている。
[映画館(字幕)] 5点(2018-01-03 13:24:07)(良:1票)
225.  クリーピー 偽りの隣人 《ネタバレ》 
かみ合わない会話、とくに社交辞令に絡むあたりから、するするっと隣人が心の奥に入っていく過程は、同じ黒沢清監督のCUREを思い出す。そういえば、本作の展開もよく似てた。ただ、CUREが「あんたは誰だ」というわかりやすい問いで絡んできたのに対し、本作は、どこで入り込まれたのかよく分からないままに気づいたら支配されてしまうというのが怖い。そのプロセスについては、いろんなメタファーが劇中に用意されている。たとえば、西島さんの演技が終始下手くそに見えるのだけれど、「刑事」「犯罪心理学者」「大学教授」のベタな役柄を演じている人という設定なんだろう(とくにあのわざととしか思えない棒読みの大学講義シーン・・・)。冒頭の刺されるシーンでの、それは「致命的だ」という教訓から結局学ばず、事件に首を突っ込んで、刑事ごっこ、犯罪心理学者ごっこに夢中になる。そして当然ながら「夫」としての演技も基本に忠実すぎて、まったく中身がない。妻はそれに気づいているからこそ、役割や社交辞令を逸脱して踏み込んでくる西野に、なんだかんだで近づいていってしまう・・・。あと「隣人」ではあるのだけれど、家と家のあいだにある「空き地」も象徴的。これは6年前の事件とも共通しているのだけれど、人と人の「距離」を象徴するようなあの場所は、西島さん演じる主人公、そして役割演技に忠実な現代人の対人距離でもあり、西野はその向こう側からいつもこちらを眺めつつ、いったんそこを越えれば、いきなりつけ込んでくる。そう考えれば、アイデンティティっていうものの自体を問うたCUREよりも、より現代的な問題設定であり、2010年代の黒沢映画らしい一作でした。ただ、後半のバランス崩れるところも同じ。前半の緊張感、妻が取り込まれるまでの恐怖はどこへやら、結局はサイコパスvs間抜けな警察、薬と銃をめぐるドタバタ劇で終わってしまう。最後の絶叫シーンで救われる部分はあるけど、もはやこのがっかり感、チープ感こそが黒沢印の様式美となっているようにも思えます。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2017-12-16 09:30:51)
226.  インターステラー 《ネタバレ》 
もともとこの手の「なんちゃってリアル的SF」は好物。『ゼログラビティ』や『オデッセイ』など、それなりに理屈っぽい設定とそのわりには大ざっぱなエンタメ部分のバランスが魅力的だった良作群から見ると、今作はどっち方向からもやり過ぎた感がある。序盤はけっこう理屈で押してくるのに、ブラックホール以降はぶっ飛んでしまって、そもそもの設定は何だったんだろうと思ってしまう。長尺ではあっても退屈はしなかったけれど、マン博士の件や兄妹間の微妙な関係などは物語を冗長にしちゃった感じはするし、個人的にはラストのクーパーの「帰還」後のエピソードは完全に蛇足感があった。そもそも父娘の「再会」は必要だったか? 自分としては、時計のモールス信号だけで十分に「再会」は果たされていて、けっこう感動してたのに・・・。救出の経緯もよくわからないし、アメリアのその後の描き方だったら他のやり方もあっただろう。あそこで、ちょっと冷めてしまったというか物語から突き放されて、エンドロールを迎えてしまった感じ。総じて、娯楽系の正統派なSFとしてしっかり楽しめたけれど、あとでいろいろ考えると、うーむと言わざるをえない。それもひっくるめて、ノーラン監督らしい映画ということはできるかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-12-15 15:41:34)(良:1票)
227.  ナイトクローラー 《ネタバレ》 
最初のうちは薄っぺらいことを妙に得意げに語りつつ、やってることはハチャメチャな主人公に戸惑うのだけど、「そういう人物」だと分かってくるとこの映画の底意地の悪さがたまらなくなってくる。あの薄っぺらさは、「最短距離で結果を出す」現代の効率性への意地悪な風刺でもあり、こんな風に戯画化されれば「引く」けれど、日常を生きていれば周りに必ずこうゆうタイプっているし、自分のなかにも少なからずこんな感じっていうのはある。だからこそ、「他人の気持ち」とか推し量ることなく、「最短距離で結果を出す」道を突っ走る主人公の醜悪な痛快さに、何とも言えない力で引き寄せられているのに気づいてしまう。何よりもエンディングに主人公の周りに集まってくる3人の「インターン」の雰囲気が秀逸。あの、いかにも「不器用ながら真面目に「成功」を目指す若者」っぽい感じ。彼らの今後を思うと、気の毒な気持ちしかないのだけれど、自己啓発セミナーにせよ、新興宗教にせよ、マルチなんとかにせよ、現代の建前と本音の狭間で人々を引きつける「何か」を描いた怪作。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-12-10 20:28:50)(良:2票)
228.  新感染 ファイナル・エクスプレス 《ネタバレ》 
父娘ものとゾンビ映画の組み合わせというのは、個人的には最悪で最高だ。しかも、ハリウッド映画だったらなんだかんだで娘は大丈夫だろうと思えても、韓国映画なだけに全く予断を許さず、最後の最後までサスペンスは続く。秀逸なのは、そこに織り交ぜるドラマのバランス。過剰にベタつかないけれど、泣かせるところはとことん泣かせる。娘が最後まで歌を歌わない理由からラストへの流れは、もう父娘ものとしても完璧だ。キャラのそれぞれの顛末もよく考えられている。ある意味、最期に初めて「カップル」になれた高校生の2人(この2人の捕食シーンだけはなぜか美しく見えた)とか、葉加瀬太郎みたいなのに男気の塊のおっちゃん、ゲスなのに憎めない社長、最初から最後まで職務に忠実な車掌さん、そして何よりも主人公の父親の最期まで、それぞれにドラマと見所が用意されている。サスペンス・アクション映画としても、序盤の不穏な状況の見せ方、列車を舞台にしたバリエーション、そして駅という場所の描き方まで、たぶん予算は抑え気味でも、アクションやゾンビ描写自体にまったく不足はない。意外とバイオレンスや残虐描写が控えめなのも個人的にはよかった。万人におすすめできる秀作!
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-11-12 20:29:23)(良:1票)
229.  ザ・マミー/呪われた砂漠の王女
いつもながらやり過ぎなトム・クルーズはもちろんですが、アマネットを演じるソフィア・ブテラのエキゾチック美女ぶりがとてもよかった。あと、相棒のヴェイルもいい。そこにラッセル・クロウまで加わっているわけで、俳優陣はそれなりに魅力的なのに、なぜここまで面白くない出来になってしまったのかが不思議な映画。結局は、登場人物が何を考えていて、いま何が物語を動かしているのかが、いまいちつかめないまま、話が進んでいくので、それになりお金を掛けたアクション・シーンの緊張感や魅力も半減してしまった、ということで、やっぱり脚本と演出の問題なのだろう。あと、トムは、彼自身の努力はリスペクトするけど、この役をやるには、やっぱり歳を取り過ぎてる気が・・・。ちょっと後先考えずに好奇心で突き進んでしまうとか、そういう役をやるには、彼自身貫禄がありすぎる。なんともバランスが悪くて居心地が悪い映画です。
[映画館(字幕)] 4点(2017-11-12 09:24:09)
230.  22年目の告白 -私が殺人犯です- 《ネタバレ》 
上映中はそれなりに面白く見た。とくに、1995年の映像を中心に時間の経過を伝える冒頭の流れは秀逸でした。その後の追跡劇のアクションのキレもよくて、期待感を高めるに十分。ただ、藤原竜也が出てくるあたりから、演出過多が気になり始め(とくに女編集者の演技は酷かった)、よく考えると突っ込みどころや台詞の軽さが目につくようになって、真犯人のあたりのオチで、やり過ぎたなあ、という感じで終わってしまった。重厚な作風にもできたとは思うけど(原作はどうか知らないけど韓国映画はこのあたりのバランスが絶妙)、もともと演技が大ぶりな藤原竜也を起用した点で、その線ではなく、深堀りしないことで得られるスピード感を重視したんだと思うし、その点では結構成功してると思う。最初の演出過多も、派手にやることで真犯人を刺激したかった、っていうことだっのか〜って一時は納得はしたんだけど、ラストの別荘のシーンの酷さで全部帳消し。元ネタの韓国映画があるから難しいけど、いっそのこと何らかの形で仙堂が真犯人だって知ってしまった被害者家族たちが、彼を「填める」コンゲーム的なところまで振り切ってたほうが、このテンポやスピード感が活きたようにも思います(でも時効の話がどっか行ってしまうか・・・)。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2017-11-10 19:27:23)
231.  SCOOP! 《ネタバレ》 
福山雅治と二階堂ふみのバディ関係の成立が思ったより早かったけど、面白かったのは正直、政治家の不倫ネタあたりまでだったか。その後は物語の軽快で軽薄なテンポからうってかわってシリアスな展開になるけど、各シーンに突っ込みどころがありすぎて、シリアスに没入できない・・・。滝藤・福山2人が騒いだくらいで、なぜ容疑者を隠す囲いがズレるのか、よくわからない。ラストも銃を持って暴れるリリー・フランキーをなぜ放っておいたのか、いくら福山がとめたとはいえ、あれは警察も大不祥事でしょ。リリーさんもやり過ぎで、ちょっと物語のバランスを崩してしまっている。ベッドシーンもいらないと思うし、描き方からしておかしい(しかも二階堂さんは下着のまま。今作のなかのバランスを考えれば、どうしてもベッドシーンを入れたいのであれば、そのあたりの描き方は徹底してほしかった)。そして何よりも、キャパのあの超有名な写真が出た時点で完全に冷めた。物語のラストが容易に(その写真を撮るのが誰か、も含めて)予想がついてしまうし、「戦場カメラマンを夢見たはずがパパラッチ」という設定を、何のひねりもなくストレートに今描くことの意味ってなんだろう。「文春砲」が良くも悪くも世を動かす昨今を考えれば、むしろ「パパラッチであること」をもっともっと深く問えたはずなのに。残念。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2017-11-05 23:34:26)
232.  ドライヴ(2011) 《ネタバレ》 
冒頭の逃走シーンは本当に凄い。派手なアクションはわずかだけど、静と動の組み合わせでこれだけサスペンスに溢れる場面が作れるのかと関心しました。また、映画中盤のモーテル?のシーンから急にタガが外れるバイオレンスも、あの頭ぶっとぶシーンから別の映画になったようで戸惑ったけど、物語にスピード感を与える(まさに「ギアが入る」)表現としては面白いと思いました。前半は違和感だった80年代風の音楽もだんだん映画と馴染んでくるから不思議。ただ、残念だったのは、プロットのほう。これは原作ありきなので仕方がないのかもしれないけれど、「純愛」部分のベタベタなロマンティシズム。キャリー・マリガンは可愛いが、どこか男目線のファンタジーを体現した感じは2010年代の映画としてはどうなんだろう。「ドライヴ」というタイトルから想像されるカーチェイスも後半はほとんどなし。そして、事件の真相部分。LAという大都会を舞台としたはずなのに、想像以上に狭い人間関係で、主人公周りの人物相関図だけですべてが描けてしまうのが、いったいどこの田舎町の話だっていう感じだった。まあ、映像とか音楽とか、台詞の間というか無言のシーンとかの使い方にはセンスを感じるので、監督の他の作品には興味ありです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-09-17 12:12:25)
233.  バットマン vs スーパーマン/ジャスティスの誕生 《ネタバレ》 
もうザック・スナイダーには雨と夜を禁止にしたい。バットマンが主人公だから夜主体になるのはしょうがないし、ノーラン版よりはアクション・シーンも何が起きているかはわかった。けど、こうも終始雨と夜のシーンばっかりだと、さすがに見ててうんざりくる。一度前に見て、まったくダメだと思ったのだけれど、『ワンダーウーマン』見て、あらためて見てみたくなって再見。でもやっぱりダメなものはダメだ。娯楽大作のはずなのに一見さんお断り感満載の回想やら夢やらのシーンを支離滅裂に詰め込み、登場人物の動機はどれも「まあ、わかるけど、そんなに怒らなくても・・・」みたいなのばっかりで感情移入もできない。スーパーマンとバットマンのスケールの違いが、悲しいくらいに物語のバランスを崩しているし、レックス・ルーサーは劣化版ジョーカーでしかないし、最後のアイツに至っては、もう笑うしかない。ワンダーウーマンはめちゃくちゃいいが、この映画で一番かっこいいのがワンダーウーマンっていう点で単体の映画としてはダメだろう。それから、マーベルにも言えることだけど、映画の総予告編化っていうの、いい加減にやめてほしい。いつから映画にとって大事なのが、完結した1つの物語を楽しむことよりも、次回作を見にいかせることになったのだろう。次回作見ても、どうせそれは次々回作の予告編でしかなく、永遠の予告編ループで観客が飽きたら、きっとあっさりと打ち切られるんだろう。マーベルは、それでも単体で楽しませることがある程度できているからましだけど、この映画は絶対にダメだ。ワクワクするわけでも、へえーっと考えさせられるわけでもなく、ただ陰鬱な気分になるだけの夜と雨ばっかのヒーローものを何作もみんな見たいんだろうか。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2017-09-15 20:56:56)(良:1票)
234.  ワンダーウーマン
それにしてもすごい女優を見つけたものだ。ガル・ガドットありきの「絵」が満載で観てるだけで楽しい。正直、ヒーローものの常であるけれど登場人物の「強さ」のバランスの悪さ、序盤〜中盤の展開のテンポの悪さ、神話世界と人間世界のかみ合わせの悪さ、ストップモーション使いすぎ、城〜ラスト戦闘シーンの薄暗い画面など、娯楽作品としては難点も多い。けれど、ガル・ガドットという女優とダイアナは完全に一体化していて、一つ一つのシーンがとにかく美しくて、楽しい。あと、クリス・パインがとてもいい。「人間であること」の弱さと強さをダイアナに伝える難しい役どころで、ここの説得力がないと物語自体が成立しないところだったけど、ダイアナというスーパー女性を前にしても嫌みにならない彼の「軽妙さ」が、この映画にとっても合っていた(正直、スタートレックより数倍いい)。2人の役者が沈没寸前のDCを救ったとは言えるけど、個人的にはこの魅力的なキャラをDCの微妙なコラボレーションで台無しにしてほしくないとすら思いました。
[映画館(字幕)] 7点(2017-09-05 17:18:30)(良:3票)
235.  キングコング: 髑髏島の巨神 《ネタバレ》 
ベトナム戦争が終わっても不完全燃焼の将軍が「戦争の狂気」を求めて・・・ってまるっきり『地獄の黙示録』じゃないか。兵士パートは完全に「地獄の黙示録」状態で、そんな将軍に翻弄される若い兵士たちが気の毒で(涙)。島で二手に分かれたときも、主人公(傭兵+女写真家)組はたいした危機もなく原住民とかと交流したりしてるのに、兵士組は決死すぎるサバイバル・・・。で、そんな話と平行してるのかしてないのかわからないところで、怪獣どうしの大バトル。ただ、怪獣パートはかなり楽しい。ピーター・ジャクソン版はちょっと生理的に無理なシーンもあって辛かったけど、これはそこまででもなく、予想の範囲内ではあるけどバリエーションも迫力も十分。一方で残念なのは、主人公パートで、せっかくのトム・ヒドルストンは見せ場も少ないし、女写真家のブリー・ラーソンはなんか無理矢理コングと交流させられてる感もあって微妙。あと、この手の映画としては、最後けっこうたくさん生き残ったね。せいぜい主人公とヒロインの2人だけが生存ってパターンを予想してただけに、ちょっと肩すかしだったかも。もったいぶらないスピード感(逆にいえば「タメ」は皆無)は結構好きだし、楽しく作られていますが、正直、次は別にいいかなあ、という感じ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-09-01 13:53:51)
236.  ワイルド・スピード/ICE BREAK 《ネタバレ》 
いつも不満に思いながらも、ついつい見てしまうシリーズ。少なくともドラマ部分や物語の辻褄に対する期待値は低く、スピード感抜群のカーチェイスと大がかりな「絵」が見られればそれでいいやというスタンスなのですが、まさにそのままの出来でした。冒頭のハバナでのチェイスは本シリーズの本領だったし、NY市内の車「ゾンビ」化(『ワールドウォーZ』のゾンビが車になったやつ)あたりは、大がかりすぎて笑うしかない。NYの絵がすごかった分、邦題になってるロシアでの氷上アクションはやや霞んでしまったけど、もうおなかいっぱい、ごちそう様という感じでした。ただ、エレナの扱い、デッカードのファミリーへの加入、そして何よりも物語上の位置づけが宙ぶらりんになってしまったブライアンとミアのことなど、やっぱり辻褄の無茶ぶりは目に余るし、そのあたりの矛盾をアクションで押し切ろうとしてるのも見え見えなので、どうも乗り切れない。加えて、ドミニクが「裏切る」ことの物語上の意味があんまりない。早い段階でドミニクが脅されてることはわかるし、仲間もみんな彼を信じちゃってるんで、サスペンス要素はほとんどない。なのに最後までその構図が続くので、なんかスッキリしたいのにできないモヤモヤもある。細かいことは忘れて乗っちゃえば楽しいよ、っていうのがお約束なシリーズなのはわかっているのだけれど、そのお約束に制作側もちょっと甘えてないか、というのがどうしても気になる8作目でした。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2017-08-23 18:11:00)(良:1票)
237.  ドリーム 《ネタバレ》 
遅すぎる日本公開を待ちきれずに原語版で見た。邦題をめぐってあれこれあったけど、映画自体はなかなかの良作です。まだ人種隔離が違法化されていない時代、黒人と白人とでトイレもコーヒーも共用しないのが「当たり前」とされた時代には、NASAだって例外ではない。さらに、黒人社会のなかにも、女性に対する差別も偏見も存在する。主人公3人の黒人女性たちが直面する壁は、絶望的に厚くて高い。でも、この3人がそれぞれの才覚と努力と情熱で、少しずつその空気を変えていく。この映画は、人種というシリアスな素材を扱っていながらも、映画自体がポップで前向きでポジティヴな雰囲気に満ちていて、そのすがすがしい気持ちよさが何よりも魅力だ。ファレルの音楽もそんな雰囲気に一役買ってる。映画が公開されたのは、2016年の大統領選挙の後であったけれど、この映画が描くようなマイノリティが持つ「明るさ」は、間違いなく新しい分断の時代に立ち向かう武器になる。個人的にも、もう少しドラマティックでシリアスなほうが好みではあるけれど(とくに、マハーシャラ・アリ演じるジム、ケヴィン・コスナー演じる上司、そして宇宙飛行士たちの「ものわかりの良さ」は、ちょっと肩すかし)、人種をめぐるドラマが全部シリアスである必要はもちろんない。この時代をあえて軽妙なコメディ・タッチで描く懐の深さこそ、かの国の映画産業と黒人文化の底力なのだろう。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2017-08-20 15:36:48)(良:4票)
238.  ブレックファスト・クラブ 《ネタバレ》 
青春の一作。シンプルマインズのDon't Youを聞いたら懐かしくなって見たくなった。同曲をバックに始まるオープニングは、やっぱり青春映画の新時代を告げたと思う。理由や背景は一切解説されないまま図書館に集まってくる5人の高校生たち。けれど、そこにすでに親との関係性や各自が抱える葛藤がきちんと描き込まれている。通常の学校生活では相容れないであろう生徒たちが、土曜の補習クラスに集まったことで始まる葛藤と友情。完全に悪役扱いの親や先生というのも80年代的だけれど、この割り切りのおかげで5人のやりとりに集中できる。若く演技も未熟な俳優たち(とくにアリー・シーディの作りすぎ演技は今見ると辛い)だけれど、だからこそ音楽やマリファナでハイになっているときの開放感(とくに、5人がそれぞれの形で踊るダンスシーンは本当に楽しい)には、これぞ青春映画!というところを感じるし、告白シーンのシリアスさは演技だけでなく、それぞれの俳優たちの内面を語ってるようにも思えてしまう。ただ、今見ると難点があるのも確か。実は今回見るまで完全に忘れてたのだけど、本作のエンディングでは2組のカップルが誕生してしまう。これは本当に不要! というか、これじゃー「月曜日に会ったら友達だ」っていうブライアンの感動的な一言が台無しだ。アリスンのお化粧もいらないし、それで簡単に惚れてしまうアンドリューも・・・。このあたりの軽さが80年代的なんだと思うのだけれど、この映画のラストは2010年代に見るには、やっぱりちょっと辛かった。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-08-19 01:05:06)
239.  裏切りのサーカス 《ネタバレ》 
よく言えば重厚、悪く言えば退屈。「陰謀」や「真相」が鍵の映画ではなく、イギリス諜報局(サーカス)のなかの人間関係の機微を楽しむ映画だということがわかってくると、楽しくなってくる。そこで描かれるのは、、カーチェイスも銃撃戦もなく、黒いスーツを着てなかなか本音を見せないイギリスのおっさんたちの人間関係なので、そんなのに興味がない人にとっては退屈でしかないのだろうけれど、1回目に「退屈」に見えたシーンも、2回目を見れば、そこにさまざまな意味が込められていることがわかり、全く別物に見えるのが面白い。罠にかかっているのに気づかずドヤ顔してしまう人、「同性愛」だと思った瞬間に全く意味が変わってしまう台詞、そしてどんな哲学的なことを考えているのかと思いきや実は奥さんのことしか考えてなかったという顔など、背景が分かると英国紳士たちの「演技」の奥深さを楽しめる。そして、ラストに人間関係がつながったところで再生されるパーティ・シーン(これは音楽も含めて本当に名シーン!)。このカタルシスは、結局この映画がスパイ陰謀モノではなく、組織のなかの人間関係モノだったことを如実に表しています。ただ。そう考えると、キャストのバランスの悪さは気になる。基本的には、主人公スマイリーと、ボスのコントロール、主要な幹部4人(ティンカー、テイラー、ソルジャー、プアマン)に加えて、その部下2人(ギラムとブリドー)のあいだの人間関係を描くのだけれど、やっぱりコリン・ファースのオーラというか存在感ありすぎなので、ほかがかすんでしまう(ブリドー役はとてもがんばっていたけど)。そのアンバランスがけっこう、そのまま本編のストーリーにも絡んできてしまうので、それがよかったのか、悪かったのか。「難解」というよりは、ほとんどの台詞やシーンが多義的なので、それを楽しむための映画といったところでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-08-06 09:42:09)
240.  ハドソン川の奇跡 《ネタバレ》 
短くシンプルな作品ではあるけれど、うーん少し疑問が。結局、この映画は事故に関わったすべてのプロフェッショナルたちが「自分の仕事」をしたことで「奇跡」が起きたということを美しく描いているのだと思うのだけれど、唯一ちゃんと仕事してないのが、NTSBの調査官だ。ラストの公聴会でのサリーの主張は、「え、そんなことNTSBが考えてないわけないでしょう」というもので、NTSBからどんな反論が用意されているのかと思えば、なんと本当にNTSBは考えてなかったらしく、そのまま大逆転からの大団円(どころかNTSBによるサリーへの絶賛付き)・・・・。数十年前の話ならともかく、今時、再現シミュレーションにヒューマン・ファクターによる時間ロスぬきで計算していたなんて、普通に考えてあり得ないでしょう(とはいえ、実話ベースの話なので、それも実話なのだろうが、そうであるならなおさら、なぜNTSBがヒューマンな要素を抜きで計算してしまったのか、についての検証も必要な気が・・・)。NTSBの「壁」があまりに脆かったので、個人的には物語的なカタルシスの行き場がなく、「これで終わり?」という結末でした。とはいえ、NTSB以外の事故シーンにおける淡々とした描写には、イーストウッドらしい「引きの美学」が満載で、どんな派手な再現ビデオよりも素晴らしい人間賛歌であったと思います。であるがゆえに、NTSBの調査官も市井の人であり、プロフェッショナルであることをきっちりと描いてほしかったし、そうであればこそのこの事故検証劇だったのだと思うのです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-08-01 12:55:30)
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