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ユーカラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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321.  起終点駅 ターミナル 《ネタバレ》 
佐藤浩市は『愛を積む人』に続いての北海道・不器用男路線。 降旗康男と高倉健コンビ作のようなローカル・スタティック・ハートフル・ナルシズムに落ち着くにはまだ早かろうに。  めぼしいロケーションは佐藤の暮らす寂れた一軒家に釧路駅、そしてお馴染みの幣舞橋といったところでバリエーションに乏しい。 北海道ロケの割に画面は奥行きが浅く、縦の構図を意識したのは、振り返らずに駅舎へと去る本田翼とそれを 車から見送る佐藤のショットくらいだ。  料理の映画でもありながら、調理シーンは手許の接写と、佐藤の表情のアップをつなぐばかり。 彼本人が実演しているとわかるのは筋子をほぐすショットただ一つである。  ロケハンといい、調理シーンといい、かなりの省エネ映画だ。  これでは、料理はただ単に食の観光アピール、コマーシャルに過ぎない。 音楽なら演奏を、料理ならその調理を、俳優が実演してみせるその身体性こそ、美味しさを映画で伝える上で要となると思うが。
[映画館(邦画)] 4点(2015-11-15 17:54:40)
322.  グラスホッパー 《ネタバレ》 
阪本善尚のカメラがいい。男たちの首筋を流れる汗が夏の暑苦しさを伝え、ふっと影が差していく屋内が人物の細やかな心情変化を伝える。 浅野忠信をはじめとする俳優たちの見栄えのよさも、その陰影を浮き立たせる撮影の素晴らしさゆえである。  尾行する生田斗真と、その対象である吉岡秀隆がホームであわや接近遭遇するショットの緊迫感。 囮として潜入した女性が手錠を外して凄腕を披露していくその凛々しい表情など、なかなかの見所である。  それぞれのドラマが絡んでいくうねりは淡白だし、 回想によるもたつき、案の定出てくるラストの種明かし説明などがやはり蛇足なのだが、 ラストの波留の笑顔で帳消しにしても良い。
[映画館(邦画)] 5点(2015-11-14 16:27:24)
323.  俺物語!! 《ネタバレ》 
カメラに正対しての顔芸のアップに頼りすぎ。カメラに向かってヒロイン微笑むの図も映画というよりもテレビコマーシャルのよう。 コミックのキャラクターが映画によって動きを得たというのに、アクションシーンも動感に乏しく硬直気味。 火事の中、棺桶を支えるシーンは状況の提示が絵解きとして不適格。意味を伝えるだけならフィルムコミックで十分である。 特にこの遊園地のシーンは演出全般の粗雑さが目立つ。おそらく原作エピソードの継ぎ接ぎだろうが、キャラの感情の流れが一貫していない。 永野芽郁が懸命に主人公のカッコ良さを訴える場面の人物配置が不適当。鈴木亮平は影となる位置に置くべき。 鈴木が永野にかけてやったブレザーの扱いが雑。汚れたブレザーを何故そのまま返させるのか。何故、それを抱きしめさせないのか。 永野の友人たちが鈴木を見直すのは「惚れそうになった」という科白ではなく、具体的なカットバック等による表情で示すべき。 といった具合である。  メインの恋愛ドラマもまたヒロインの作るスイーツのように大甘だが、ドラマの進行と共に脇役を含めた人物たちに次第に血が通っていくのがいい。 チョイ役であるパン屋、ケーキ店の店主たちがみせる人柄の良さ。彼らの言葉を介して伝わるヒロインの真情。 そんな細部もまたクライマックスを盛り上げる手助けをしている。  クレジットによるとロケ地は杜の都、仙台らしい。鈴木亮平が夕陽を見る高層階のベランダや校舎の屋上や、風が緑を揺らす橋と川の俯瞰ショットなど、 開放的で見晴らしの良い景観がところどころにあり、少女漫画のファンタジーと登場人物たちの清潔感とによく馴染む。  それだけに、ラストの告白シーンの橋は爽やかな快晴で撮って欲しかった。
[映画館(邦画)] 5点(2015-11-13 22:49:05)
324.  リトルプリンス 星の王子さまと私 《ネタバレ》 
直線と四角形を中心に構成される、グレーを基調とした無機質な街。そこでは、生垣の緑までもが立方体である。 そこに越してきた少女が隣の老人宅を訪ねると、カラフルな円形のパラシュートが彼女を優しく包み込むシーンがまずは感動的だ。 『星の王子さま』の登場、そして少女の冒険が始まるとともに、放物線や円のイメージがさらに広がっていく。  原作パートはその挿絵のイメージを活かしたストップモーションアニメだが、これが何とも味わい深い。 風に揺れる草葉の動きが一本一本細やかに表現されていて、その手作り風の温もり感覚がCGパートとの対比でより際立っている。  大人の街のダークなムードやビッグアイズなどはティム・バートン風の趣だ。  少女が操縦桿を握る紅の翼が夜の街を飛ぶ。サン=テグジュペリのあの『夜間飛行』の世界がそこにある。
[試写会(吹替)] 7点(2015-11-12 23:32:57)
325.  エベレスト 3D 《ネタバレ》 
かつて本多勝一氏が指摘したマロリーの「because,it is there.」が相も変わらず劇中で「そこに山があるから」などと日本語訳されている。 これはエベレストの映画ではないのか。何故に最高峰エベレスト(it)に登るのか、を語らう会話のシーンで字幕は「山があるから。」 頓珍漢な翻訳センスに頭が痛くなる。 映画とは関係ないが。  『エベレスト3D』だが、望遠のパノラマショットの3D効果は案の定、実に薄い。飛び出す絵本レベルで、平板さこそが際立つ。 断崖からの俯瞰の数ショットのみに効果を発揮し、遠近感の失せる嵐のシーン以降は有害でしかない。 深度の浅く薄暗い屋内シーン、人物はアップ中心でその顔貌の凹凸ばかりを3Dで見せつけられても苦痛なだけである。  サテライト電話の用法・見せ方も巧くない。
[映画館(字幕)] 4点(2015-11-10 23:52:32)
326.  ミケランジェロ・プロジェクト 《ネタバレ》 
ノルマンディー、レマゲン、etc、、。CG処理であれ何であれ、戦争映画で馴染みの場所の見事な再現だけでも心ワクワクなのだが、 科白を大幅に削ってテンポよく描写される隊員集めのシーンからその軽快さに心が沸き、 アルデンヌの森の夜に響く、レコードの澄んだ歌声の清らかさに泣かされる。  女心をみせるケイト・ブランシェットに「I love my tie.」と返すマット・デイモンはまるで 『荒野の決闘』のラストのヘンリー・フォンダのようだ。  ブルージュの聖母子像をめぐるエピソードの中で、ヒュー・ボネヴィルが殉職する場面で逆光のジョージ・クルーニーが フラッシュ・フォワードで挿入される。トリッキーな印象の編集だが、それがクライマックスで岩塩鉱の中から眩い光の中に運び出される聖母子像と モニュメントマンたちのシルエットへ、さらにラストで教会の外へ歩み出る彼のシルエットへと変奏されていくことで、 スライドの映写でレクチャーする巻頭巻末のシーンとあわせて、光を巡るドラマとしても印象深い連携になっている。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2015-11-09 20:57:38)
327.  ジャン・ルノワールのトニ 《ネタバレ》 
『列車の到着』に始まり、列車の到着に終わる。 映画の中で語られた一つの事件も、これから幾度も繰り返されるであろう束の間の出来事の一つに過ぎない、と。 着いた駅から流れ出てくる外国人労働者たちの歩み。石切場の勾配、入り江、鉄橋、官能的な葡萄畑の風景、それら南仏の実景に 同時録音と思しき環境音が生々しく響き、そして労働者たちの歌が印象的に流れている。  中景、遠景を中心とした撮影で風土と人間の存在・動きをまるごと捉える。その引きのショットの距離感が絶妙である。 女が入水自殺を図ろうとボートを漕ぎ出す水辺のショット。逃走するトニが猟銃であっけなく射殺されるショット。  それらは対象を突き放すような、それだからこそ凄味と誠実を感じさせるカメラである。
[ビデオ(字幕)] 8点(2015-11-08 06:07:09)
328.  S -最後の警官- 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE 《ネタバレ》 
「この国のために」とかいう、あまり耳馴染みになりたくないイマドキなフレーズが押し付けがましく二回も三回も出てくる。 こういうところからもジワジワと慣らされていくわけか。簡単に括れば、御用映画。 『海猿』だの『図書館なんたら』だの、カワイイお兄さん、お姉さん達のソフトな外面で覆ったマッチョイズムが解りやすい。  そのヤサ男:向井らが乱打戦、ヒロイン新垣・綾野らが狙撃戦を担うわけだが、やはり狙撃のほうが映画と相性がいい。  ジャックされたバス内を狙う狙撃手の眼。ターゲットスコープ内の視点。揺れるヘリ内で銃身を安定させてのタンカー側との狙撃戦。その俯瞰ショット。 それら一撃一撃が重みを持つシーンが映画を引き締めている。  向井・オダギリが無駄に格闘するクライマックスの肉弾戦は、新垣が止めの一撃を狙うシーンの緊張の邪魔ですらある。
[映画館(邦画)] 4点(2015-11-07 06:33:19)
329.  サクラ花 -桜花最期の特攻- 《ネタバレ》 
夜の整備場内、夜の滑走路と先の見えない視界不良の場から続き、鹿児島から沖縄へと飛ぶ一式陸攻機内という限定空間を主たる舞台とすることで、 マクロな戦争スペクタクルを封じている。 沖縄まであと一時間半程度という台詞から、かなり実時間に近づけている事もわかる。  直前まで会話していた仲間が、突然の機銃音と共に血まみれになって即死する。 敵機に狙い撃ちされる度に機体に穴が空き、撃たれた隊員達は次々に身体から血を噴き出し、のたうつ。  低予算を逆手に取った風防外部の状況を示さない戦略は、より目前の戦場の惨状即ち人間が損壊し絶命していく痛みを際立たせている。  乗り合わせる隊員らの過去も多くは語られない。その事が一方ではサスペンスを生み、一方では桜花に乗り込み特攻していく十七歳の若者と 一式に残る若者の短いやりとりを感動的にする。  「ボタンの掛け違い」、「まさか時代がここまで急転するとは」といった科白の数々は今現在に向けられている。
[映画館(邦画)] 6点(2015-11-03 21:47:58)
330.  自由への闘い 《ネタバレ》 
屋根伝いの危険なスタントあり、操車場の高架から列車へ飛び乗るスタントあり。 アクションの演出も頑張っているし、空爆シーンは予算の都合らしく音響だけでの表現だが、 それでも十二分に空襲の恐怖感を伝えている。  ルノワールその人を思わせる相貌のチャールズ・ロートンの演説と身振りはヒトラーとは真逆で穏やかで淡々とし、 語る彼の姿よりも、それに聞き入る人々の表情に多くのショットを割いている。 その中で、彼を万感の想いで見つめるモーリン・オハラが一際美しい。  中でもルノワールらしいのが、映画の中盤、彼女とロートンがガラス戸を挟んで見つめるシーンだ。 屋内と屋外の空間処理の巧さもさることながら、彼女への想いをうまく伝えられない彼の気弱でシャイな姿が何ともいじらしい。  その彼が、ラストで彼を引っ立てようとするドイツ兵士の手を毅然と払い、胸を張って校舎を歩み出て行く。 映画前半の臆病を吹っ切った彼がみせる、さりげないが意思的で尊厳に満ちた身振りの数々が感動させる。
[DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2015-11-02 00:00:32)
331.  地の群れ 《ネタバレ》 
映画に登場する海底炭鉱跡地のロケーションが、モノクロフィルムの質感と共に生々しい存在感をもって迫る。 金網の向こう側に米軍潜水艦が停泊している佐世保軍港を歩く鈴木瑞穂を撮った移動ショットは明らかに盗み撮りだろう。 ここでも物々しい空気がフィルムを通して伝わってくるようである。 被爆者部落の中を縦移動していくカメラの静かなリズムが、それだけで息詰まる迫力を生んでいる。 ところどころに鳴り響く米軍機の爆音もまた観る者の緊張を決して解かせない。  北林谷栄を襲う投石の雨。それをカメラは傍観しない。 暗闇の中からカメラに向かって飛んでくる石礫。トラックのライトに浮かび上がる彼女に、カメラ側から投げつけられる石礫。 両者の軸線上にカメラは位置し、双方に同化する。 観客もまた、石を投げつける側であり、投げつけられる当事者であるということだろう。
[ビデオ(邦画)] 8点(2015-10-31 08:30:33)
332.  メイズ・ランナー2 砂漠の迷宮 《ネタバレ》 
砂漠の荒野を超えてその先に聳える山を目指す。という西部劇的で魅力ある設定だが、これがあまりにもあっさり踏破してしまうので拍子抜けする。 どうやら2~3日で難なく麓まで着いてしまう程度の距離だったらしい。 ご都合主義こそ映画とはいえ、このシリーズでは所謂デストピアとその世界観が売りなのだろうから、その中でどのように食料を調達し、 水をどのように確保するかくらいの設定はせめて描写の中で提示して欲しい。子供相手とはいえ、申し訳程度に水筒一本で誤魔化そうとは虫が良すぎる。 一方では『マッドマックス』最新作があれだけ水の扱いを重視しているのに。 この時点で、まともに付き合う気はなくなる。  とりあえず、目先の危機また危機という小状況を繋げていくことで刹那的なサスペンスを持続させていくのは前作同様、ある意味簡単である。 その前提の部分で、もっともらしい嘘をついて欲しい。  腹も減らない、喉も乾かない、何百キロ歩いても疲れ知らずの若者達がどれだけの危機に陥ってもハラハラなどしようがない。  最近こればっかりといった感じの廃都市のCGスペクタクルを楽しむのみ。
[映画館(字幕なし「原語」)] 4点(2015-10-30 23:09:03)
333.  風の歌が聴きたい 《ネタバレ》 
大沼公園をデートする長廻しシーンをはじめ、中江有里と雨宮良の二人は手話を完全に自分のものとし、 モデルその人になりきるようにナチュラルにコミュニケーションをとっている。 その他の出演者達も手話の身振りを器用にこなしており、そうした俳優の努力だけとっても感心させる。  が、そのようなテクニック以上に彼女の身振りと表情の豊かな表現力に感動させられる。  一般的に健常者がやれば過剰と見做されるその身体表現には、相手に心を伝えようとする切実な意志の力が漲っている。  サイレント映画の俳優が全身で喜びや悲しみを表すあの表現力。まだ喋れない幼子のあの表現力を思わずにいられない。  髪型も幾度か変え、学生時代から出産までを演じる中江はその容貌だけでなく、雨宮との交際の中で変化していく感情を 演じきって、魅力的だ。
[DVD(邦画)] 8点(2015-10-27 21:07:54)
334.  ダイバージェントNEO 《ネタバレ》 
この壁に囲まれたエリアに生きる人々という世界観。邦画でも洋画でも最近よく見かけるのは偶然か。 その舞台となるデストピアの細密な描写力がなかなかで、瓦礫混じりの都市の俯瞰などに眼を奪われる。  ヒロインの脳内イメージシーンであることを前提として展開されるビル崩壊やアクロバティックなアクションにサスペンスなど無いが、 その瓦解のスペクタクルで乗り切ってしまう。  そのイメージの中で、髪を切ったシェイリーン・ウッドリーがその澄んだ瞳と、凛とした美しい表情をみせる。  ロベルト・シュベンケ監督となって、120分を切ったのもいい。前作からの説明もそこそこにドラマは進むが、把握には困らない。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2015-10-25 20:31:40)
335.  ニュールンベルグ裁判 《ネタバレ》 
検察側の人物を背後からカメラが正面に回り込んで映していくと、リチャード・ウィドマークである。 これはケレンを表現するカメラだ。  弁護士役マクシミリアン・シェルの長い熱弁を、法廷内の様子を見回すように旋回しながら収めたロングテイクは、 カンペ無しというアリバイを誇示しながら、彼の長広舌を印象付けるカメラといったところか。  そのカット尻で、彼と被告席のバート・ランカスターの二人をピタリと構図に収めるのなどは、 スター俳優達が別撮りではなく紛れもなく共演しているとアピールするカメラワークでもあろう。  これが、物語も佳境となるランカスターの弁論あたりまで続くとさすがに鼻についてくる。例によって旋回したカメラは彼を真正面に置くと 上昇して、決め台詞直前でいきなり高速ズームで彼を大写しにする。 金さんの桜吹雪や、水戸黄門の印籠じゃないんだから。  途端に映画自体が段取り臭く、様式的・誘導的で、押し付けがましいものとなってしまう。  様々な小道具を介しての場面繋ぎなど、細やかな工夫も随所に凝らされているし、 大戦の犠牲者として登場する二人の女優のキャスティングもいいのだが。
[DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2015-10-21 22:37:44)
336.  わたしに会うまでの1600キロ 《ネタバレ》 
山上から誤って片方の靴を落としてしまったヒロインは、もう一足の靴も潔く放り投げる。 それを実際にシェリル・ストレイドが行ったかどうかはまったく問題でなく、何よりも映画の要請として投げる。  『ダラス・バイヤーズクラブ』は主人公が病に冒されつつも行動的に世界各地を飛び回る、何ともフットワークの軽い映画に思えたが、 こちらはフラッシュバックを交えながらの地道な歩行の映画だ。  出発の朝、荷物を詰め込んだバックパックを何とか背負おうと悶絶格闘するヒロイン。 その重みの感覚、テント設営の不慣れな手つき、旅と共に身体じゅうに出来た傷や痣などの描写が実に丹念である。  劇中で、森で出会った子供が歌いだす。その清らかな歌声が不思議に沁み入る。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-10-18 18:06:36)
337.  心が叫びたがってるんだ。(2015) 《ネタバレ》 
背景の中で動くものといえば、3DCGのバス、電車、まばらな車。そんなところだろう。 宮崎駿をスタンダードとして見てしまう身からすれば、そんなものはただの手抜きアニメだ。 交流会でのその他多勢の観客はただの静止画に過ぎず、街には雑踏がない、風も吹かず、雨もロクに降らず、雲もまともに動かない。 画面によってではなく「風が冷たくなってきた」とかいう台詞でかろうじて季節が示唆されるという情けなさ。 あのような情けない雪なら降らせる必要がない。足跡もまともに活用出来ないのだから。  ミュージカルとしても、仲間との練習の中で心を通わせ、歌唱の練度を上げていく描写はその要ではないのか。 そこを手抜きしてはドラマの起伏も無いだろうに。要はとことん面倒臭がりで横着なのである。 社会も世界もなく、カワイイ女の子を中心に、ただ描きたいものだけを動かすのだから、アニメーターも楽しいだろう。  その女の子が何やらチマチマと指先で携帯いじりをして、画面にその文字情報が大写しで並んでいく、、。 はっきり云って、アニメーションとして自堕落である。   一般的にはこういうアニメーションが主流なのだろうから、如何に宮崎駿が異端であったか、という事だ。 アニメゆえの台詞過剰をあの媚態混じりのアニメ声音でやられるのも苦痛でしかない。  そういう意味で、これなら実写のほうが余程マシである。  公演中に小津をやったりしてるのだが、どちらかといえば単に山下敦弘の『リンダリンダリンダ』をやりたかっただけかも知れない。
[映画館(邦画)] 2点(2015-10-17 22:28:26)
338.  ジョン・ウィック 《ネタバレ》 
結末部一歩手前を巻頭に持ってくるのも、キアヌ・リーヴスの顔半分に影を落として二面化する照明設計もノワールスタイルの証。 全般に照度を落とした心象情景の中、主として人工の光が彼の相貌を染める。 摩天楼の夜景空撮に稲光、白銀に輝く雨の反射にネオンサインと、光と影を意識してドラマに組み込んでいる。  雨の波止場で決着を付けた彼が画面手前に歩み来ると同時に、その顔面を次第にシルエット化させて死を仄めかす。 そこで冒頭のショットへと回帰するが、瀕死の彼を生に呼び戻すのは亡き妻の声と、彼女を映した携帯端末の光であると。  打撃系と関節系を組み合わせた連続技のアクションを出来うる限り持続的な引きのフィクスショットで撮る。 桟敷部分からの垂直落下を、多人数掛けの銃撃とそのリアクションをワンショットで収める。  そうした意欲的なアクション演出も随所に光る。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-10-17 22:17:06)
339.  太平洋戦争と姫ゆり部隊 《ネタバレ》 
まるでキング・ヴィダ―の『戦争と平和』(1956)に対抗するかのような70mm戦争スペクタクルである。 広大なロケーションとエキストラを駆使してLVTによる米軍上陸、艦砲射撃、嘉数の対戦車戦、52高地戦まで再現している。 1971年の東宝作品『沖縄決戦』と比べても段違いなスケールは、米国同様にテレビとの差別化を模索していた時代をうかがわせる。  内地側、日本軍、沖縄県民、そして岡本版ではほとんど表象されていない米国軍側のドラマまで、盛り込みすぎなくらい盛り込まれ、 各々の劇は都度寸断されて散漫な印象である。  これも叙事詩的リアリズムと呼ぶべきだろう。 戦争スペクタクルの中に肝心なひめゆり部隊のドラマが埋没してしまっている。  内地側の都合によるキャスティングも、内地側の論理に従ったナレーションも、時代を超えることは出来ない。
[DVD(邦画)] 5点(2015-10-17 17:06:40)
340.  マイ・インターン 《ネタバレ》 
アン・ハサウェイがオフィス内を自転車で颯爽と駆け抜けるという折角の設定な訳だが、それがエクササイズの為でもあるという説明には余念がない割に 肝心な画面的な面白さになっていかないのがもどかしい。ただ単に独特なキャラクターであるとの意味付け以上のものが見いだせない。  中盤のメール誤送信騒ぎのエピソードも、ドラマ上の重要性は薄い訳だから何らかのアクション的盛り上がりを狙ってのものと思うが、 それならそれでもっとコミカルなドタバタを躍動的に見せて欲しい。  というわけで、もっとアクティブな演出をみせてくれれば嬉しいが、かわりにカッティングの小気味良さは其処此処で光っている。 物流倉庫でラッピングを指導するヒロインと、それを見守る紳士との切り返しショットのさりげない印象付け。 教会でのサイレント的なユーモアもいい。  衣装の映画だけにアン・ハサウェイもロバート・デ・ニーロもその着こなしが素晴らしく、ファッションが俳優の魅力をさらに引き立てている。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2015-10-15 23:37:14)
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