521. 長屋紳士録
《ネタバレ》 小津さんの映画は、ほっこりするね。 昭和の戦後の高度成長の頃だろうか? 出稼ぎで上京してきた親子の子供がはぐれて、長屋にお世話になる。 まぁそういう話なのだが、この頃は本当に貧しくて、ルンペンと言われるような 乞食のような子供もいたから、長屋の人たちは、最初は子どもを邪険にする。 ところが強情なのだが、どこか憎めないこの子に、情が移って来る。 最後のおたねさんの涙の訳を聞いて、長屋のみんなは「ほう」と思う。 分かれて悲しくて泣いたのでなく、その子供がどんなに嬉しいだろうか、思って泣くのである。 もうこういうハートの分かりやすい映画は昨今ではないねぇ・・ [ビデオ(邦画)] 8点(2019-08-09 14:34:14) |
522. つぐみ
《ネタバレ》 市川準って最初はCM風で違和感あるんだけど、観てるうちにいつの間にか 映画体験させられてるんだよなぁ~。スゲェ。 牧瀬里穂が強情娘の表裏を見事に表現してます。 いますよね~、こういう娘さん。 真田広之との恋愛のその後を見たかった気もします。 でも市川準らしくていいです。 恋愛を深入りして描くタイプの監督じゃなかったですもんね。 [ビデオ(邦画)] 7点(2019-08-04 23:35:40) |
523. ヤングガン2
《ネタバレ》 う~ん、一作目は面白かったんだけど・・ シナリオをかなりこね回したような感じはあるんだけど、イマイチでしたね。 ギャレット役のアクの薄さとコバーンをもっと活かさないと・・ やはり仲間が死に過ぎるから、ちょっと暗めな印象ですね。 結局、エステバスのあの笑いがビリーザキッドにふさわしかったからの起用でしょうか? エンドロールでの彼のヒャッヒャッヒャって笑い声でそう思いました。 ペキンパーのビリーも観てみたいですね。 それにしても娼婦の彼女は素敵です(ドキドキ) [ビデオ(字幕)] 6点(2019-08-03 18:44:31) |
524. ヤングガン
《ネタバレ》 ヤングスターたちの競演西部劇。 ニューシネマだったりすると、最後全員やられるのが、普通なのだけど、 若いスターの魅力の前にそういう映画にはならなかった。 てっきり哀しいBGMのなか、スローモーションで散っていくと思ってた。 リンカーンから生きて脱出できるとは思わなかったなぁ。 しかしビリーザキッドの映画としては、この映画の方が実像に近いらしい。 ペキンパーとかもビリーの映画撮ってるのにね 意外です。 [ビデオ(字幕)] 7点(2019-08-01 10:31:13) |
525. サタデー・ナイト・フィーバー
《ネタバレ》 トラボルタとダンスの映画。 みんな、あの傑作「グリース」のような楽しい映画なのだろうと思うはず。 しかし、この映画は裏「グリース」といってもいいようなダークな内容。 ビージーズの音楽が表してるように、青春爆発の映画だ。 しかし、そこに性の危険な落とし穴もある。 トニー(トラボルタ)の最初のパートナーがカワイソ過ぎる。 彼女もトニーへの腹いせと、優勝へのご褒美にこんな形でしか愛を表せなかった。 環境のせいもある。でも、やっぱりトニーは弱かったんだと思う。 青春の一時のまばゆさがディスコの照明と重なり、悲しくきらめいてる。 [ビデオ(字幕)] 7点(2019-07-29 00:47:45) |
526. アンジェリカの微笑み
《ネタバレ》 老監督の作品は、濃厚な時間が漂っている。 本作品は、言葉にできない映画体験だ。 死人のアンジェリカに心奪われた青年が、最後旅立つ、と言い切ってしまうには、 あまりにもそこに濃い内容があるような気がしてならない。 故人に恋する。このモチーフで「ある日どこかで」という映画がある。 しかし、この作品は、SF的に昔にタイムトリップしてしまう。 いかにも、何とかしてしまうというアメリカ映画なのだが・・ ポルトガルの老監督は、死人に恋して、死んだ、それも人生という感じで、 大らかな大地と共に人生賛歌をそこに描く。 [DVD(字幕)] 7点(2019-07-28 16:30:20) |
527. 北のカナリアたち
《ネタバレ》 阪本監督、リスペクトしてます~(泣) 吉永小百合も良かったですし、松田龍平の抑えた演技が良かった。 最後の教室の場面は感涙しますし、石橋蓮司の小粋なとこもいい。 や・は・り、阪本監督は凄い! [DVD(邦画)] 8点(2019-07-27 23:15:27) |
528. 時雨の記
《ネタバレ》 なんだ、この無礼な男は、と思っていた。 吉永小百合に無礼なふるまいを、けしからん、と・・ きっと建設業で伝統的な建物を壊して、新しい建物を造ってる輩なんだろうな、と。 でも最後、渡哲也演じる男が死に、改めて吉永小百合が彼の書いた和歌を読むと・・ 「吉野山 こぞのしをりの 道かへて まだ見ぬ方の 花をたづねん」 妻以外のきれいな女性にちょっと「たづねて」みたかったんだね・・ [DVD(邦画)] 7点(2019-07-27 19:27:46) |
529. ミッドナイト・イン・パリ
《ネタバレ》 アレンの夢なんだろうね。 憧れの文豪や芸術家にまじって、 憧れの素敵な舞台で恋をしたら・・ 彼女の気持ちを現代に帰って、著作で確かめるとことか 尾行していた探偵がルイ?世の時代に行ってしまうとことか、 アレンならではのユーモアもあって、面白かった。 [DVD(字幕)] 7点(2019-07-25 12:03:07) |
530. 教誨師
《ネタバレ》 見応えあった。 大杉版「デッドマンウォーキング」といったところか・・ 最初は罪のある人たちとの空疎なやり取りが続く。 が、彼らの処世術が徐々に出てき始め、大杉演じる牧師の罪が洗い出される。 この辺の俳優たちの演技は見事である。 結局、観てて、その辺の常人の方が羽目を外してるよ、と思わされる。 最後の死刑囚の一人の宝物のグラビア写真に書かれた言葉。 「あなたがたのうち、だれがわたしにつみがあるとせめうるのか」 向こう側の人、こちら側の人、人間は小さい存在だ・・ [DVD(邦画)] 7点(2019-07-20 13:45:28) |
531. 散り椿
《ネタバレ》 剣の道を共に切磋琢磨し、競い合った剣豪たち四天王が 一家老の不正により、非業の死を重ねていく話は、怒りすら感じて、 無念の涙が出てしまう。 時代劇としては、人気の藤沢周平とは違う品があり、面白い。 ただ采女の養父が、不正事件で窮地に立たされた時、疑心暗鬼のため血迷ったとはいえ、 養子の采女に斬りかかるとこが釈然としない。 養父と養子がうまくいってなかった描写を入れておく必要があったろう。 采女の複雑な心ももっと丁寧に掘り下げてほしかった。 母親が富司純子では、采女がそんな複雑な親子になるだろうかと観て、思ってしまいやすい。 でも不満があるのは、その一点だけで、見ごたえある映画だった。 何より岡田准一の運動神経は抜群で、同じジャーニーズの 東山君と一戦交えるような、そんな時代劇も観てみたい。 [DVD(邦画)] 7点(2019-07-12 02:56:55) |
532. ミスター・ガラス
《ネタバレ》 面白かったなぁ。 謎の組織が、ヒーローの出現を阻んでる。 なるほど、確かにヒーローって悪と同じくらい秩序を無茶苦茶にするもんね。 「マンオブスティール」なんて、スーパーマンが街を壊しちゃうし・・ ヒーローが暴走しないための仕掛けが精神医で「あなたは病気だ」というセリフ。 結局、ダンもケヴィンもみんな殺されちゃうんだけど、ガラスはそこまで計算して、 さらに上を行ってた。 最高のどんでん返し。 シャマランの娯楽映画は面白いねぇ。 [DVD(字幕)] 7点(2019-07-11 12:45:39) |
533. スプリット
《ネタバレ》 多重人格者の中に化け物級のが潜んでいたんですね。 ラスト、この人物が「ミスターガラス」に関わることを暗示する。 さぁ、待て!いよいよ「ミスターガラス」を観るぞ~! [DVD(字幕)] 6点(2019-07-09 10:43:35) |
534. アンブレイカブル
《ネタバレ》 「ミスターガラス」が気になって、まずこの作品を観た。 「スプリット」も観ねば・・ でもこれ一作だけでも、完結したどんでん返しになってて、 ナイトシャラマンの才能に脱帽。 [DVD(字幕)] 7点(2019-07-08 10:03:31) |
535. ファースト・マン
《ネタバレ》 期待のディミアン・チャゼル監督作。 宇宙飛行士の実話ものと言えば、「ライトスタッフ」「アポロ13」など。 (変わったとこでいえば「ロケットボーイズ」※飛行士ではない) 月面着陸が作り話だったという「カプリコン1」というサスペンスもあるが・・ この作品は、自信を失ったアメリカが月面着陸成功させたのは俺たちだ!という 意味なのでしょうか?それとも、そろそろ2人目の月面着陸を、ということだろうか? チャゼル監督得意の音楽を使えない無音の月面着陸。それが逆にいい音になってる。 彼の作品の中では、異色の一作になるかもしれないね。 [DVD(字幕)] 7点(2019-07-07 22:31:07) |
536. 八月の狂詩曲
《ネタバレ》 黒澤監督の「夢」の中の短編を、1時間半の映画にしたような感じだ。 あのピカドンの眼は、インパクトあった。見事です。 黒澤さんの夢のようなイメージだ。 黒澤さんはどの作品観ても、丁寧に創り込んでいくのが感じられる。 今の映画に慣れてる人には、ちょっと物足りないかも・・ でもこんな地味な内容を最後まで観せられる力量はスゴイです。 まさに日本の映画! テンポも、内容も、映像も。 アメリカに影響を受けた「姿三四郎」などの初期の作品から 日本を取り戻した監督のやらなきゃいけなかった仕事だと思います。 [ビデオ(邦画)] 7点(2019-07-05 02:24:51) |
537. 三文役者
《ネタバレ》 一度、劇中で見たら、忘れられない風貌の俳優、殿山泰司。 彼の愛すべき私生活を、殿山が怖い人だと言っていた監督、新藤兼人監督自身の 手により映画化。作品も竹中の好演が効いて、愛すべき一本になっている。 荻野目慶子は映画と結婚したような女優。 その体当たりの演技は、もうこれが映画の中と思えないくらいの肉迫ぶり。 素敵です。 何度も言うが、とても愛すべき映画だ。 やはり映画は、役者の魅力が隠し味のように効いてくるものだと再認識させられた。 竹中の魅力が、いつしか殿山の魅力と重なり、乗り移ったのではないかと思わせられる。 [ビデオ(邦画)] 9点(2019-07-04 00:48:02) |
538. ステラ
《ネタバレ》 母親、一世一代の大芝居。 だけど娘さん、分かってたんだろうと思う。 それでも母親がああした演技してまで、私の人生を歩めというなら、 そうしようと思ったのだと思います。 もう泣けちゃう。 ベッドミドラーの苦労のにじみ出た表情が素敵です。 [ビデオ(字幕)] 7点(2019-07-03 13:38:28) |
539. 不連続殺人事件
《ネタバレ》 昭和のころの男と女の情を 殺人事件の動機にしている点で文学作品なんですね。 金では愛は買えない、それがポイントの映画でした。 で、犯人はだれかとか、知的な挑戦を観客にしてるわけではなく、 だから殺されていく人物の描写などもあまり緻密に演出しない。 観てる自分は、あれ?また殺されたのって感じだ。 そもそも不連続とは、どの事件が本当の犯人の意図か、それをごまかすための連続殺人なので 「不」連続殺人というらしい。 劇中、探偵がそう言ってる。 多くの殺人の時に、奥さんがそばにいることで、殺しの本命のだんなに安心させといて、 昔の恋人と組んで、最後だんなを殺す。そういう話でした。 ラストの事件の解明は明快だった。 モヤモヤした世界に一本筋が入るような感じがした。 だから、観終わってみると、面白かったとなるんだね。 [DVD(邦画)] 6点(2019-06-30 11:14:50) |
540. 眠狂四郎 無頼剣
《ネタバレ》 面白い! 御贔屓の伊藤大輔脚本ときて、 「剣」の三隅と市川雷蔵のコンビである。 裸の藤村志保が布団にいるのを挟んで、大塩平八郎残党と狂四郎のにらみあい。 こんなエロチックなアクションシーンないよ~(涙) 狂四郎の言葉がイチイチカッコいい。 「思ふこと言わねば 腹ふくるるとかで よほど思案に余ることなら 聞かぬまでもない。」 「俺はな産みの母親の顔さえ知らんが おんなの腹から産まれてきたのに 相違ないのだ。おふくろさまと同じ女性(にょしょう)に理不尽を働く輩は、 理非曲直を問わんぞ。」 あれぇ~?狂四郎さんてそんなキャラでしたっけ(笑) でも雷蔵ってカッコいいよねぇ~(溜息) [DVD(邦画)] 8点(2019-06-29 22:36:39) |