161. リトルプリンス 星の王子さまと私
《ネタバレ》 原作『星の王子さま』を読まずに育った私だが、本作品には考えさせられた。 大人になって失ったものは何だろうか。大人になって忘れているものは何だろうか。 この2つの問いに対して、この映画はあれこれ説明してこず、見る者に気付かせてくれる。子どもの頃に見るよりも、大人になった今のタイミングで見るほうがその気づきは大きいように思う。 無機質な街並み、スパルタ母親、ビジネスマン。それぞれの描写が冷えきってるからこそ、隣人の老人が際立つ。大事なものを失わないようにせねば、内省しながらそう思う。 [インターネット(字幕)] 6点(2017-02-28 23:56:45) |
162. 百円の恋
《ネタバレ》 格好をつけた映画ではなく、好感が持てる仕上がり。現実的。 安藤サクラ、初めてこの俳優の演技を見たが、ストイックで見事でした。 倒れても立ち上がる、これを32歳にして体当たりで学んだ主人公に乾杯。彼女の人生における十分すぎる成長。 ストーリーはありきたりで、決してお気に入りの作品になるわけではない。だけど、「環境が変わると人は変わることができる」、そんなポジティブなメッセージを受け取れる後味の良い映画。 [インターネット(邦画)] 6点(2017-02-25 14:40:30) |
163. ゴーン・ガール
《ネタバレ》 シリアスなサスペンスものを最近見ていないので鑑賞。そこそこ楽しめた。 タイトルだけしか見ずに鑑賞したので、てっきり10代の女の子の失踪かと思っていた部分がいい意味で裏切られた。 この映画は、どの夫婦にもありそうな危機を描いていることがリアリティーあって良い。ストーリーも単純なものではなく、幾重にもひねってあった。 「頭が切れる女による復讐」、この次元までくると恐怖心が芽生える。エイミーの演技は見ごたえあり。 この夫婦の着地点を敢えて見せずに、ニックの苦悩が続いていくラストはさすが。 ただ、『セブン』のような唸る展開や手に汗握る緊張感はない。 [インターネット(字幕)] 6点(2017-02-23 11:58:29) |
164. マイ・インターン
《ネタバレ》 米国と日本で評価に差がある本作。公開当初から気になっていたので鑑賞。 まず、アン・ハサウェイの存在感は抜群。表情豊かで、社長役も違和感ない魅せ方。 そして、シニアインターンという設定が面白い。「老齢の紳士がナウい職場に勤めると、どんな化学反応が起こるか?」という期待で映画前半はワクワクさせられる。 ビルは、社長ジュールスを仕事面でもプライベートでも支える存在で、生きてきた長い人生に裏打ちされた温かい言葉と温かい表情が魅力的だった。まさに、この映画のテーマである "Experience never gets old." を反映したものだと感心した。 やや落胆したのは後半。前半とはトーンが違う家宅侵入で熱が冷めたうえ、夫とのリスタートの描写が薄っぺらく、勿体なさを感じた。 [インターネット(字幕)] 6点(2017-02-21 01:50:32)(良:1票) |
165. MI5:消された機密ファイル <TVM>
《ネタバレ》 スーツを着こなしたMI5のスパイと聞くと007が思い出されるが、本作諜報員はやや年齢が高め。上品な着こなしの紳士の落ち着いた演技が魅力。 国家がらみの陰謀に対峙する、という脚本のスケールの大きさはスパイもの好きにはたまらなく高揚感を味わった。 ただ、肝心の黒幕とのやり取りは地味に始まって地味に終わる。007作品みたいにド派手にやってくれとまでは思わないが、もう少しサスペンス色を加えてほしかったかな。 [インターネット(字幕)] 6点(2017-02-17 19:10:55)(良:1票) |
166. 舟を編む
《ネタバレ》 映画としての盛り上がりや起伏のある映画ではないが、静かな主人公に合った静かな物語。中盤までは期待高まるが、中盤以降はあらかた予想通りの展開。 なんともよかったのが、大量の本や資料に囲まれた辞書編集部でおこなわれる社員たちの地道な作業ぶり。おかげさまで、用例採集なんていう独特のワードも頭に残り、辞書編集の裏側をのぞけて興味深い。 松本さんや荒木さんみたいな温厚で器の広い上司の意志を引き継ぎ、辞書『大渡海』の編集を通して人間的に成長する馬締。その仕事場での様子は伝わるのだが、香具矢との交流があまり描かれていなかったため、彼女とのオフタイムでのやり取りはオマケになってしまい、淡々とした勿体なさを感じてやや残念。 この映画内で辞書に対する馬締の魅力が最大限伝わりきったとはいえず、最後の松本から荒木へ宛てた手紙で彼の名前が出てきても、深い感動には至らなかった。 [インターネット(邦画)] 6点(2017-02-17 01:30:07) |
167. 怪盗グルーのミニオン危機一発
《ネタバレ》 笑って楽しめるシーンが健在していて良いものの、前作『怪盗グルーの月泥棒』が良かっただけに、やや見劣りする作品。 グルーがAVLの水中基地に誘拐され、捜査官と一緒に捜査を始めるところまでは「次はどうなるか?」という躍動感あるが、黒幕である敵のマッチョがどうも小物感否めず魅力があまりなかったのが残念。 [インターネット(字幕)] 6点(2017-02-13 12:54:01) |
168. アース
《ネタバレ》 良かった。 動物をテーマにしたビデオはたくさんありそうだが正直今まであまり見たことがなく興味本意で鑑賞。 まず、北極から南極へ、という旅の設定の仕方が見やすく良い。映像やBGMの躍動感が高く、パトリック・スチュワートによるナレーションが落ち着いているが迫力があり聴きやすい。教養の素地を深めるという意味でも、自分の知らない地球を垣間見れただけでも価値があるかな。 ゾウやセイウチが子どもを捕食者から守ろうとしたり、クジラが子どもがはぐれないよう特殊な泳ぎ方をしたりと、弱肉強食の大自然の中にも温まるドラマをみせてくれる。 [インターネット(字幕)] 6点(2017-02-10 23:21:12) |
169. ミッドナイト・イン・パリ
《ネタバレ》 ユーモア溢れる作風で楽しんで鑑賞した。 夜12時すぎのバンが迎えに来て、名だたる芸術家たちと交流を深めていく様子は気取らない温かさ を感じた。シューレアリスムのダリや、フィッツジェラルド婦人など個性的なキャラが特に印象的。あと、どの時代にもノスタルジーを抱える人々が存在するのだなあ、と変に安心する。 決してパリの美しさや魅力のみに焦点をあてるのではなく、そこでの主人公の生き方(人生の決断)が描かれているから見やすい。婚約中に婚約破棄する清々しい彼、不思議と嫌悪感は覚えず。婚約者との小さな価値観の一致で妥協していた彼がパリで別の人との大きな価値観の一致を見つけた、十分なハッピーエンド。 [インターネット(字幕)] 6点(2017-02-09 02:27:38) |
170. イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密
《ネタバレ》 長年隠され続けた真実、あまりに悲しい物語。 アラン・チューリングのキャスト(幼少期と大人になったとき)が抜群にこの映画にふさわしい。陰のある雰囲気かつ頭が切れる存在はどこか魅力的。 彼を突き動かした幼少期の友人こそが、結果的にはのちの戦時下での暗号解読成功に導いたのだから、人生どこで転機があるかわかりませんね。 暗号解読に用いた機械の作成方法などの些末なところは飛ばして、暗号解読に至る苦悩や逮捕後のアランを見せてくれたのがよかった。 戦争終結に尽力した数学者の最期はあまりに不遇で孤独。 [インターネット(字幕)] 6点(2017-02-08 19:05:09) |
171. ヒューゴの不思議な発明
《ネタバレ》 雪の降る町並みや、レトロな雰囲気の駅など、世界観は好き。一人の少年が機械人形をきっかけに、老紳士の過去を解き明かしていくという意外性もオリジナリティ溢れる。 中盤あたりのファンタジー色が強く、老紳士が過去を受け入れたというラストシーンに感動とはならなかった。ファンタジーとヒューマンの塩梅が掴みづらかった。もう少し演出をシリアス寄りにしたら他人行儀な映画ではなくなっただろう。 [インターネット(字幕)] 6点(2017-02-02 22:34:57) |
172. 映画 深夜食堂
《ネタバレ》 寡黙ながら単刀直入な物言いの渋いマスターと、深夜の静けさ。雰囲気のいい映画で、作品としては悪くない。 ナポリタン、とろろごはん、カレーライス、とメニューごとに登場人物が出てきて、その客の生きざまにスポットライトがあたる進行も見やすく好きだ。 ただ、欠点としては、内容が薄い。雰囲気に酔えるものの、食堂に来る客のバックボーンが面白味に欠け、どうも二流ドラマを見てるような浅さを感じる。多くとは言わないが、マスターの人となりをもう少し描いてくれたらまた見方は変わるかもしれない。また、所々の演出が「惜しい」と素人目で感じる場面が幾度かあった。 [インターネット(邦画)] 6点(2017-01-30 02:40:01) |
173. クライマー パタゴニアの彼方へ
《ネタバレ》 後味の良い映画。爽快感がある。正直、2nd expeditionの中盤までは傍観者目線で見ていたが、3rd expeditionのフリークライミングからは手に汗握りながらスリルと達成感を同時に味わうことができた。デビッドの真面目で実直な姿とペーターの温和で寛大な姿は良いコンビネーションだった。ワンシーンワンシーンが長いのも、本作のドキュメンタリーテイストに合っていたように思う。 [インターネット(字幕)] 6点(2017-01-26 23:04:24) |
174. ホビット/決戦のゆくえ
《ネタバレ》 スマウグの襲撃から始まり、暗さが伴う良い序盤。物語をとおして、指輪物語につながる部分も複数垣間見れ、まとまりはよかった。軍同士の戦闘シーンは、二つの塔や王の帰還を知ってるからか、やや見劣りするかな。敵役指揮官のアゾグに魅力が感じられないのも一因かもしれない。サルマンやガラドリエルなどのフィーチャリングをもっとしてほしかった。2のときも思ったが、邦題は原題に合わせてほしい。 [インターネット(字幕)] 6点(2017-01-20 20:52:30) |
175. ホビット/竜に奪われた王国
《ネタバレ》 5に近い6。中盤までは良かった。終盤、スマウグが出てきてからはファンタジー色が強くなりすぎて児童映画を見てる気分になった。スマウグが喋りすぎの竜になってしまっていて、前作で感じた孤高さ・残忍さが感じられず残念。一方、サウロンの登場はハラハラさせられ、続きが気になる。 [インターネット(字幕)] 6点(2017-01-18 06:37:24) |
176. ホビット/思いがけない冒険
《ネタバレ》 指輪物語より前のストーリー、という違和感のない設定でしっくり見られる。映像美に加え、シリアスさを出すときは出す、コミカルさを出すときは出すというバランスもよかった。ガンダルフの登場のタイミングがいつもよすぎるのが珠に傷かな?序盤のドラゴンあたりで一気に引き込まれた。中盤はやや退屈。締めは次回に期待できる終わりかただった。 [インターネット(字幕)] 6点(2017-01-17 00:24:12) |
177. X-MEN:フューチャー&パスト
《ネタバレ》 良かった。開始の数分たるや、派手にバシバシ戦うなあ・退屈だなあと思っていたが、若きプロフェッサーが、未来から送り込まれたチャールズとともにエリック(マグニートー)脱出作戦に加担するところから面白い。プロフェッサーは力的にはまだまだだが、マグニートーの強さは若年期の頃でも際立っている。最後、エリックを止めるのが、この2人ではなくミスティークだというところが見事な落とし所。まあそのタイミングがあと数秒遅れていたら未来は絶望的なものになっていたと考えれば出来過ぎですが、そこはご愛嬌ですね。1973年以降の時の流れを変えるというでかすぎる変化を引き起こしたわけだから次作が非常に気になる展開になった。 [インターネット(字幕)] 6点(2016-09-26 00:55:56) |
178. 君の名は。(2016)
《ネタバレ》 岐阜の方言がいい味出しています。また、登場人物のキャラがそれぞれ立っていて楽しむことができます。ストーリーとしては中盤までの展開はよい。立花瀧と宮水三葉の交錯(岐阜の大自然に囲まれたノスタルジックかつローカルな青春生活、および東京での現代っぽい高校生の生活)が戸惑いの観点および甘酸っぱい観点から描かれ、ユーモアも含みながら楽しく見ることが出来る。中盤あたりから、だんだんタッチングなシーンが増えてきたなと感じ、「3年前に宮水三葉が東京まで来ていた」ということが判明したシーンが感動のピークだった。それ以降の隕石落下を防ぐところあたりから、やや事実関係がぼやけてきて、感情移入できにくい展開が続いた。個人的には、ハッピーエンドで終わるよりかは、糸守町を守ろうと高校生たちが動いたものの、隕石落下による壊滅は防ぐことができず、立花瀧と宮水三葉の交錯は儚くも途絶えてしまった、という展開になったほうが過去の意思疎通の味が出てくるのではないかなと感じる。しかしこのような細かな部分にわだかまりは感じながらも、全体的な印象としては、心が研ぎ澄まされ、身近にいる大事な人を大切にしたいなと感銘を与えてくれた映画でもありました。 [映画館(邦画)] 6点(2016-08-28 21:02:18) |
179. スター・ウォーズ/帝国の逆襲
《ネタバレ》 ヨーダとの出会い、ルークの成長がメインとして描かれている。ダース・ベイダーの恐怖による帝国サイドの支配、ホスの戦い、ハン・ソロの活躍ぶり、ランドの裏切りとそのあと、などなど見所たくさんで最後まで飽きることなく鑑賞できる。タイ・ファイターに追われた戦闘機が、攻撃にいっさいやられずに逃げ切るシーンが何度か登場するが、毎度同じ感じでやや退屈。空中戦という意味では、前作のほうがはるかに記憶に残る。ヨーダの訓練を最後までコンプリートすることなく、ベイダー卿に立ち向かってダークサイドに寝返らないルークという設定にやや予定調和を感じるが、今作で果敢な姿勢を見せてくれたレイアと盛大な銀河系を見つめる最後のシーン。その決意を新たにした後ろ姿に期待を込める。 [DVD(字幕)] 6点(2016-08-03 04:29:05) |
180. オーロラの彼方へ
最初〜中盤はストーリー展開についていくのに時間を要したが、ラジオを通して息子が失われた30年間を父との交流で埋め合わせてゆく姿が描かれてからは、一気に引き込まれた。父親の息子に対する愛がこれだけ描かれているから、見る方も感情移入するし、息子の必死ぶりも理解できるんだなあと実感。ウェアハウスの火事で生き延びることができて一件落着でハッピーエンドにならないところがよい。過去を変えたら他の部分が変わることは自明だが、ナイチンゲール事件の被害者数が3から10になった瞬間はゾクッときた。一気にシリアスさ・ミステリーさが加わり良かった。母親がそのターゲットの一人になり、というところもよい。全般としてよかったのだが、オーロラと時空との関係の説明がご都合主義的なところがあったのが最後までしっくりこなかったのと、邦題の「オーロラの彼方へ」は失敗だと感じる(周波数を表すfrequencyのままのほうがテーマに合ってよい)。 [DVD(字幕)] 6点(2016-07-10 23:09:29) |