1. ラフ
《ネタバレ》 ラストシーンは比類のない素晴らしさ。無駄がなく、鮮烈だ。 あだち充の作品を読むのはこれが初めてだけど、台詞のないコマの運びや無駄な感傷のない演出に独特のセンスがあり、心底感動させられた。よく考えるとベタだったり、主人公が(スポーツ理論なんかすっ飛ばして)天才過ぎたりするのだが、そうと感じさせない巧みさがある。大和父や緒方、スキー場の女の子といった脇役の配置の上手さもずば抜けている。 これを読むと十代の頃にスポーツに打ち込んでおけばよかったなんて思わされてしまう。もっとも、打ち込んだとしても絶対こんないい青春にはならないんだろうけど。 8点(2008-06-12 14:20:36) |
2. ラブマスターX
《ネタバレ》 『脂肪という名の服を着て』に並ぶ、安野モヨコ氏初期の秀作のひとつ。さまざまな登場人物が有機的に絡みつく複雑な展開が見もの。主役の少女はもちろん、その両親まで恋愛に突っ走る。なぜかおじいちゃんと小学生の弟君がいちばんの決め台詞を吐く。恋に酔ったり病んだりしている連中よりも、恋愛に距離のある人間がもっとも適切な判断力を持っている、ということか。かと思うと意識的に冷静さを捨てることで最大限に恋を楽しむキャラもいる。どちらとも、違った意味でラブマスターなのかもしれない。……「ラブマスター」って素の文で書くと異様に恥ずかしいな。 8点(2007-11-20 02:40:56) |
3. ラヴ・バズ
《ネタバレ》 志村作品のなかでも相当にマイナーだけど、好き。ヘタレすぎる女子プロレスラーの主人公キャラがいい。明るくて体力バカで、まるで違う漫画家が考えたみたいだと思っていたら、例の逃走シーンでやっぱり志村さんにしか生み出せないキャラクターなのだとわかった。負け続けるのを通して成長を描く、という珍しいスポコン。地味だけど面白かった。 7点(2007-12-02 00:00:20) |
4. LA QUINTA CAMERA ~5番目の部屋~
個性的な絵柄がいいですね。でもエピソードによってあたりはずれがあって、面白いものもあれば当たり障りのないものもある。最近大人気のオノナツメさんだけど、個人的には物足りなく感じることが多いです。もう一歩、なんだよなあ。 6点(2008-01-01 21:01:05) |