1. 新聞記者
《ネタバレ》 ロクな映画ではないと思っていたが、想像を超える酷い作品だった。報道を扱う映画なのに、報道をもてあそんでいるとしか思えない。 【結末を含む重要なネタバレ注意】 序盤から天下りのあっせんで退職した前川喜平氏を陰謀論で擁護したり、刑事で不起訴になった山口敬之氏を安倍氏の根回しのせいと言ってみたり(デイズジャパンの広河隆一氏だって起訴されたわけじゃない)、森友学園を陰謀論のままに取り上げてみたりしているが、どれも原作の望月記者やワイドショーの妄想の域を超えないものばかりだ。フィクションという体裁だから根拠を示す必要はないのだというつもりなのだろうが、こんなものは“報道”でもなんでもない。「見てきたかのような嘘」とは、まさにこのことだ。 そもそも望月記者がやってきたことは証拠を示すことではなく、「自分は証拠を持っていないが、関係者は間違いなく証拠を持っているはずなのだから、それを見せろ」ということだ。自分で証拠を持っているなら、それを示せばいい。映画では証言してくれるはずの人が最後に「ゴメン」といって断られたみたいな流れになっていたけど、でっち上げの証言なんかできないという背景があるのかもしれない。アメリカのドラマ「ニュースルーム」では、そもそも2つの情報源で確認するまでは報道しない、ということが徹底されていた。単一の情報源ではデマカセを掴んでしまうおそれがあるからだ。“伝聞”が情報源にならないことはいうまでもない。そういう“報道の矜持”が欠片も感じられない。 もし、アメリカで2020大統領選挙をテーマにした映画が作られたとしよう。「民主党知事の州ではバイデンが有利になるよう選挙の仕組みが違法に変更され、共和党員の投票は知らぬ間に盗まれたり破棄されてしまい、投票機も不正に操作されていた。真実を求めるトランプ支持者の声をメディアがもみ消そうとしたが、民衆の声は高まり、ついには大規模なデモに至った。だが、民主党の仕組んだ罠にハマって起きた暴動で、トランプは暴動の責任を取らされることになり、ついにはホワイトハウスを去る。トランプは『また、戻ってくるよ』と笑顔で終幕」みたいなストーリーだったら、“エンターテインメント”としては人気が出るのかもしれない。しかし、それは“報道”とは関係のないプロパガンダである。 こんなリテラシーの欠如した映画に日本アカデミー賞が最優秀作品賞を与えたのは嘆かわしい。そこからは世間の報道リテラシーの低さがうかがえる。ワイドショーがデマを流し続け、踊らされる人々が多く、不安を煽ることこそがビジネスになってしまうのもしかたがないのだろう。しかも、Netflix でシリーズものになるらしい。頭を抱えるほかはない。 [インターネット(邦画)] 1点(2021-01-29 17:47:42)(良:4票) |
2. ジョゼと虎と魚たち(2020/日本)
《ネタバレ》 良作。原作未読、旧実写版未見の状態で鑑賞(東京国際映画祭)。予告編である程度は予想できたけれど、タレント声優であったことは気にならなかった。 【ネタバレ注意】 序盤、ジョゼの傍若無人ぶりとか、そのジョゼを祖母が閉じ込めようとしていたりとか、ちょっとそれはないと思うところもあるのだが、そのあたりは気にならないくらいの展開。まさに王道的なラブストーリーである。突拍子もない出来事が起きるということでもないのだけれど、アニメ映像としても丁寧に作られていて好感が持てる。クライマックスで起きる“偶然”くらいは許容したい。細かいことだが、主人公への思いを受け止めてもらえない脇役のバイト先の女性が、序盤では相手にもしていない感じの、しかし好青年であるもう一人の男性と終盤でうまくまとまっているような描写があるのもよいところである。(改めて確認してみたいと思うが)悪役がいないだけでなく、不幸な結末を迎えた登場人物はいないのではないだろうか。とても“見心地のよい”作品。 なお、旧作実写版で池脇千鶴の濡れ場がある、ということが話題になったことは知っていたが、それらしい箇所はまったくなし。このストーリーのどこで?と思ったら、実写版はアニメとは別物らしい。アニメを見た後、実写版を見ようと思っていたが、正直あまり見たくない気持ちである。 [映画館(邦画)] 8点(2020-11-22 09:56:37) |
3. ジグソウ:ソウ・レガシー
《ネタバレ》 「ソウ」シリーズじゃなかったら普通のホラー映画かな。【ネタバレ注意】過去作もだんだんスプラッターな描写だけが目立つようになってきたから、あまり変わらないかもしれないが、せっかく「ファイナル」で締めくくったものを復活させてまで作るほどのストーリーはなかった。 [映画館(邦画)] 5点(2019-10-20 22:37:41) |
4. ジョーカー
《ネタバレ》 評判通り面白いんだけど(ポリコレがどうとかではなく)絶賛するほどではないと思う。ホアキン・フェニックスの演技は賞賛していいと思うけれど。【ネタバレ注意】イジメられて、鬱屈して性格がねじ曲がったのが爆発して殺しまくるって、わりと普通のストーリーではないだろうか。むしろリアルにそういう事件があるくらいとでもいうか。“ゴッサムシティ”を舞台にしている以上、自滅して終わりという展開になるわけもなく、むしろあれほど広く騒ぎ立てられる存在になったら、バットマン“以後”のジョーカー登場で「誰?」ってなるのが不思議なくらい。ヒネリや意外な展開に期待すべくもなく、落ちるように落ちていくという話。 [映画館(字幕)] 7点(2019-10-20 21:44:35) |
5. シュガー・ラッシュ:オンライン
《ネタバレ》 佳作。前作(シュガーラッシュ)並には面白い。【ネタバレ注意】ストーリーはよくできているけど、“ハンドル”の値段が吊り上がり過ぎてるのは、ちょっとバカバカしさが過ぎる感じだった。展開は、いかにもディズニーらしく別に悪くはないんだが、驚きがない。 [映画館(字幕)] 6点(2019-01-15 13:08:39) |
6. 新感染 ファイナル・エクスプレス
《ネタバレ》 良作。とくにゾンビ映画が好きなわけではないが、これは面白かった。【ネタバレ注意】(結果的に)死に過ぎる感はあるけど、すごく王道的な展開なのだと思う。ゾンビの並外れた筋力を持ち、足が速いというのも、なかなか新鮮だった。ディーゼル機関車に引っ張られていくゾンビたちは笑った。あれ、ものすごい握力ってことだよね。 [インターネット(字幕)] 7点(2018-11-10 18:36:32) |
7. ショーン・オブ・ザ・デッド
傑作「カメラを止めるな!」が「ショーン・オブ・ザ・デッド」以来のホラー・ギャグ、と評されていたが未見だったので視聴。エドガー・ライト監督の「ホット・ファズ」が面白いと思っただけに、ちょっと期待しすぎた。それは、普段、わざわざゾンビ映画を見ないせいもあるかもしれない。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2018-10-23 16:44:01) |
8. 詩季織々
《ネタバレ》 普通の作品。25分×3話のオムニバス。それぞれに“いい話”ではあるし、駄作とは思わないが、やはり小品感は否めず「ぜひ、見て!」という感じの作品ではない。身内だから、ということはもちろんあるだろうが新海監督の“誉め言葉”は信用しないでおこうと思った。なお、画はそこそこ綺麗だし、HAOLINERSのテレビシリーズに比べればだいぶマシ。【ネタバレ注意】「陽だまりの朝食」ビックリするほどのビーフン推しというか、それがストーリーの骨格になっていた。繁盛してるビーフン屋から釣具屋への転業というのもビックリ。どこの竜田川かと。そしてその設定が何も活かされていない。「小さなファッションショー」盛りを過ぎたモデルという設定で、ありがちなストーリーなのはいいんだが、姉妹愛という割には割とあっさりした描写。「上海恋」いやぁ、そこまで口に出すなら告白してしまえ、というのはともかく、最後、なんで3人で出かけるの。どうみても一人オジャマだよね。 [映画館(邦画)] 6点(2018-08-22 00:23:32) |
9. ジュラシック・ワールド/炎の王国
《ネタバレ》 これはつまらなかった。【ネタバレ注意】このシリーズって「悪者がヘマをして大惨事」「バカが(当然)ヘマをして大惨事」の繰り返しばかり。そのヘマ、わざとだよね、ということも少なくない。そして最後、どう考えてもそのボタンを押したら一般市民に命の危機が及ぶわけで、まずいにもほどがある。積極的にそう思って配役しわけではないかもしれないが、その場面が「感情に流される女性」を「冷静になだめる男性」というジェンダー的なステレオタイプみたいな描写もイマイチ。 [映画館(字幕)] 4点(2018-07-20 20:16:31) |
10. シェイプ・オブ・ウォーター
《ネタバレ》 え?これがアカデミー作品賞?というような内容だった。デル・トロ監督は、やはり「パシフィック・リム」の続編をやらせておけばよかったんじゃないかと思う。現実に作品賞を取ったのだから、そうとばかりも言えないが。【ネタバレ注意】半魚人というテーマはもとより、サスペンスあり、ラブストーリーありという内容とは聞いていたが、どれも中途半端。何より“恋に落ちる”理由がわからない。もちろん“声が出せないものどうし”の心のつながりみたいな描写はあるのだが、ほとんど会話ができないのだから、虐待を受け続けた半魚人に対するナイチンゲール症候群?みたいなものなのか、あるいは興味本位でのアチラの相性がよかったのか、とかそういう感じになってしまう。それが高じて風呂場を水槽にしてしまうところは完全に迷惑な住人でしかなく、素で引いた。雨が降って水量が増える日がカレンダーに記されているとか、この当時の天気予報の精度がそこまで高いという気もしないし、ご都合主義がすぎるのではないか。手話で四文字誹謗とかあの状況で目立つことをするというのも解せないし、スパイ研究者の最期も、死の瀬戸際でなぜ彼女たちのことを明かしてしまうのか。それはないだろう、ということが多くて感情移入しにくい作品だった。また、R18+とかR15となっていたところも、そこまでの描写が必要だったか疑問。なお本題とは関係ないが、原文で「タージマハルものですよ」と言っていたところが、分かりやすくしようとしたせいか字幕で「世界遺産ものですよ」となっていた。この時代に“世界遺産”なんてない。 [映画館(字幕)] 5点(2018-03-10 12:19:44)(良:1票) |
11. ジェイソン・ボーン
《ネタバレ》 すっかりアクション映画。過去作は、もう少し心理戦みたいなものがあったと思うが、手持ちカメラでバトルやらカーチェイスやらが連続していく。つまらない映画ではないが、シリアスに進むのにツッコミどころもあってなかなか微妙。【ネタバレ注意】序盤、ニッキーがボクシング会場までいってメモを残し、そこで指示された待ち合わせ場所に尾行が集まる。だったら、なんでメモを残しに行くときに尾行してなかったんだよ。なんだか感情移入するどころではなくなり、醒めた感覚で観ることになってしまった。こっそりポケットにガジェットを忍ばせるとか、過去作と似たようなパターンが使われているなど、ちょっと新味に欠けた印象もある。アクション映画としては、それなりに見どころが続くのだが、ラスベガスでのカーチェイスは突っ込むために並べたみたいなクルマとか、ちょっと笑ってしまった。「ボーン・レガシー」ほどガッカリしたわけじゃないが、三部作で綺麗に終わっておけばよかったのに、という気持ちは否めない。 [映画館(字幕)] 6点(2016-10-12 00:53:49) |
12. シン・ゴジラ
《ネタバレ》 「ゴジラ」映画を見たことはないが評判がよいので観てみた次第。佳作。特撮はよかったが(とくに序盤)、ここまで高評価なのはちょっとわからない。【ネタバレ注意】石原さとみはミスキャストとしか思えない。そういう演出なんだろうけど、とても“大統領を狙う才女”に見えない。というかウザい。余貴美子はよかった。政治と危機管理を描いたドラマみたいに言われているけど、そこも薄っぺらい。ゴジラ自身が放射線出して街を破壊し続けているのに(半減期が短いという“都合のいい設定”がわかったのは後の話)、核爆弾による汚染をそこまでためらうのはなぜだろう。いや、逆に核エネルギーで動く生物に核攻撃して効果があると確信できる理由があるだろうか。というか、安保理も攻撃するなら都市部から離れたときにやることにすればいいのに。終盤の凝固剤の投入も第一陣が無残に殲滅されたら、第二陣がビビる、くらいの演出がほしかった。どれだけ命知らずの隊員なんだ。リアル(福島原発事故のとき)では、30mSvの放射線というだけで隊長泣いてたぞ。というか(核攻撃以外の)選択肢がはじめて開発する凝固剤一択とか、ちょっとリスク高すぎないか?しかも凍結成功して安心してたけど、それこそ切り刻んで処分するまで安心できないんじゃないだろうか。「ゴジラ」映画は、そういうことを考えちゃいけないならしかたないけど。なお、膨大なセリフを尺に収めるための策、なのかもしれないが、会議で多数の登場人物が“順番にしゃべる”というのも舞台劇を見ているようだった。新幹線爆弾に続いて在来線爆弾というのは笑った。エヴァ(Decisive Battle)っぽい曲もなかなかよかった。「ヤシオリ作戦」って「ヤシマ作戦」へのセルフオマージュかと思ったけど違うのかな。 [映画館(邦画)] 7点(2016-08-15 23:48:43) |
13. ジュピター
《ネタバレ》 駄作。【ネタバレ注意】面白さの急落具合を思うと「マトリックス」4作目といってもいいのかもしれない。そもそもヒトを“収穫”するという目的が設定の肝なのに、もっと効率的な方法はいくらでもあるので、絵空事過ぎる。もう少し、「マトリックス」の“デジャブ”のようにリアルに紐づけた設定があればよかったんだが。映像にお金がかかっているのはわかるが、だからといって本作ならではという印象深いものがなく、見るべきものがわからない。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-03-13 18:18:40) |
14. 少林少女
評判通りの駄作。酷くないところがない、というくらい酷い。 [CS・衛星(邦画)] 1点(2011-11-22 22:25:05) |
15. 幸せになるための27のドレス
《ネタバレ》 意外に評価が低いけれど、良作だと思う。主人公が絶世の美女じゃないところがいいのかもしれない。【ネタバレ注意】婚約発表の場でやり過ぎたところを、友人がやり過ぎだと指摘するところがいい。妹が、たんに嫌な性格ってだけではなかった描写があったのもいい。ただ、減点はしないが、邦題がいまひとつ。 [DVD(字幕)] 7点(2011-02-08 23:08:45)(良:1票) |
16. G.I.ジョー(2009)
ほんと、ただのアクション映画だった。ストーリーはあってなきが如し。突っ込みどころは色々あったと思うが、記憶に残らないくらい。CG もアクションも、それを期待する人にはいいんじゃないかな。ただ、ほんとに中身がない。 [DVD(字幕)] 5点(2010-12-29 21:00:36) |
17. シャッター アイランド
《ネタバレ》 駄作。合成がヘタなのか映像の不自然さが気になるものの、ディカプリオの演技はよいので普通に期待していたのだが。【ネタバレ注意】途中から「そんなオチではありませんように」と願いつつ見ていたが、あまりに予想通りで拍子抜け。夢オチがいけないのではない。それならそれで描き方があるのではないか。あれはこういう妄想でしたと長々説明されてもつまらない。 [DVD(字幕)] 5点(2010-12-24 00:44:50) |
18. シックス・センス
《ネタバレ》 宣伝文句も、オチも知らなかったので、素直に楽しめた。事前にほのめかすことでも聞いていたら、オチを先読みできたのかもしれないが、それを知らなかったのは幸いだったと思う。ただ、それならそうで、途中に疑問な点もあるのだけど、そのくらいは仕方がないのだろう。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-03-26 22:45:30) |
19. ジェイソンX 13日の金曜日
それほど『13日の金曜日』シリーズを見た覚えはないのだけれど、設定が未来になろうと随所に「それらしい演出」が施されており、B級映画、かつパロディ感をかもしだしている。ストーリーに意外な展開があるわけでもなく、むしろ「予想通り」に進んでいくのだが、変な狙いが盛り込まれていない分、安心できる。そんなに面白い映画というわけではないが、ジェイソンファンなら、ちょっとした余興として楽しめるのではないだろうか。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-07-25 00:35:43) |
20. 少年メリケンサック
《ネタバレ》 のっけから、契約も交わさないどころか、会ってもいないバンドのツアーを企画したり、チケットを売るという非現実的な設定に驚いた。映画はフィクションではあるのだが、もう少し、うまく話を作ってほしい。それでも中盤以降は、色々伏線を張って回収していたり、細かく笑わせてくれたりするので、酷いとまでは言わない。ただ、意外性はあまりない。結局のところたいして感情移入もできず、それほど後に残るものがなかったという意味で、この点数。 [映画館(邦画)] 6点(2009-03-03 22:16:58) |