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1.  鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
水木しげる先生のファンとしてはこの映画製作は嬉しかったが同時に不安でもあった。ちゃんとした水木ワールドとして描いてくれるのかどうか…全くの予備知識なしで鑑賞しました。 目玉の親父があの姿とか知らんかったんで途中で気づいてびっくり仰天!あんなイケメンかよ! 昭和の敗戦後の日本という舞台。妖怪とそれを利用する人間の醜さを横溝氏の世界観で見事表現。一番恐ろしい存在なのは人間なのさ。水木先生の時代では「戦争」という最も醜い愚行をからめてそれらを突き付けていたが、今の時代は「貪欲」にシフトしているのではないか、と感じた。 ラストの原作に描かれている「墓場の鬼太郎」とシンクロシーンは感動しすぎて涙腺決壊。 ただ個人的な思いなのだが水木先生が存命であったなら「水木」の書き方は違ったような気がする。 水木先生の「水木」はあくまで「地獄に落ちねばならない」人物としてとらえていた気がするのですよ。 戦場にいった水木先生は自分だけ生き残った事にいつも罪悪感を覚えていたから…
[映画館(邦画)] 8点(2024-06-02 15:54:45)
2.  SING/シング:ネクストステージ 《ネタバレ》 
相変わらずのムーンの山師っぷりが笑える。前作より今回の方がショーにかける内容も時間も濃い。それもそのはずでキャラたちは「プロ」になっているから。 歌手になるという夢を叶えたのだからどう向上していくか。プロになったからには「苦手だから」「出来ない」は許されなくなってくる。みんなどう乗り越えてくるか、をさらっと見せている。キーポイントは「寄り添ってくれる人」ではないかな~と思った。 クレイは「寄り添ってくれる人」を失ったから歌えなくなった。でも、仲間を得てステージに帰ってくる。 もう少しクレイとアッシュとの時間を描いて欲しかったかもな~(時間の都合でカットされたかな?;) もう少しシャクが欲しかったとも思うが疾走感を重視したのかな~でも各キャラ達の個性あふれる魅力は素敵。 みんなの歌唱力はさすがの一言。ショーのシーンも舞台演出が見事。何回も観てしまう作品の一つです。 個人的にはなんとってもムーンの毛並みよ!ぬいぐるみ感満載で触りたくてたまらん! ジェットエアで爆発しているふわふわ毛なんか手をのばしそうになったわい!
[地上波(吹替)] 7点(2024-03-21 21:56:13)
3.  約束のネバーランド 《ネタバレ》 
原作未読。映画の予告を観た時から期待はしていなかったがストーリーが気になったので地上波で鑑賞。俳優の演技も初めから期待していなかったので気にせず見れました。「鬼」の食用とはびっくりでした。 そうね、ウシさんもストレスのない飼育方法で育てたほうが高いし味がいいのよね。でも学習させる意味あるの?食用なら下手に知恵をつけない方がいいのでは?と思っていたら「エサの頭脳」が味と鬼の知能に関係あるという設定はお見事でした。 クローネとイザゼラはもう少しギラギラした攻防が見たかったな~原作通りなのでしょうか? 美しい景色とその奥にある真実残酷さの対比はお見事でしたがやっぱ残酷さがどこか「甘い」よね…;邦画の限界かな~と思いました。普段はメロドラマしか見ない母がしっかり最後まで鑑賞して 「怖かったね~子供達これから大丈夫だといいね~」と言っていたので+1点で(^^;)
[地上波(邦画)] 6点(2022-04-06 20:44:40)
4.  エベレスト 3D
実話が元になっているという事でリアルで非情な内容でした。映像は美しくかつ山の無常さがひしひしと感じられた。 この映画で思い出したのは2017年に起こった高校生山岳部の雪崩事故(8人が亡くなっている)その日は雪崩警報が出ていたはずなのに「通例通り」の登山講習会が行われて事故が起こってしまいました。 誰も警報を確認しなかったのか?「止めよう」とは言わなかったのか?「通例だから」と無思考で無責任の果てに生徒達が死亡する(親はたまったものじゃない) 極限の場所では一瞬の判断が生死を分ける。それを誰もが忘れていけない。 「これまで大丈夫だったから明日も大丈夫」と思ったらおしまいなんだよな~と痛感しました。
[地上波(字幕)] 6点(2022-03-05 22:01:00)
5.  王になった男 《ネタバレ》 
王と瓜ふたつの人物の入れ替わり、というありふれた題材だろうとあなどっていたので予想以上の映画でびっくり。逆によくあるテーマをしっかりとした「観せる」映画にしてくれたと思う。役者の安定感も素晴らしく、簡単に王妃を恋に落ちたりする安っぽさもなく、ちゃんと品のある王宮映画になっている。他の方のレビューでもあったが「説明しすぎない」のが良い。ここはしっかりと観客を信用しているという映画陣の度量を感じる。最近の映画は説明しすぎ・言葉にしすぎだ。素晴らしい音楽を聴いて感動するシーンにおいて「みんな感動していた」なんて説明のセリフがあっては「観客を信用していない」ので野暮なんである(役者の演技も信用していない事になる)
[地上波(字幕)] 8点(2022-01-03 15:26:37)(良:1票)
6.  ゼロ・グラビティ 《ネタバレ》 
数年前に大海原に一人取り残された事がある。乗ってきたボートが私が泳いでいるのに気付かず発進したのだ。すぐ引き返してきたのでほんの1、2分だったがあの孤独と恐怖。足の下は地のない底なしの世界が広がるあれを味わった身としてはライアンに感情移入しまくり。あの恐怖の中でよくあれだけ行動できたよ。すごいよ。「いつ死ぬか分からないけど今日私は死ぬの」の感覚も分かる。内側から開けられない冷凍庫に入った事があるから。ドアが閉まっていると分かった時、「1時間後にあなたは死にます」の現実をつきつけられる恐怖。ジョジョという漫画の2部でカーズの最期を思い出しても恐怖が沸いた。早い段階でマットが退場するので、途中でライアンが死んでマット側に切り替わるのでは、と思っていたので余計に怖かった。マットがやってきた時は彼が死んだ時かもしれない。大気圏突入で「焼け死ぬか分からないが良い旅だった」というのは人生の事だと思う。宇宙で一人「死ぬのが怖い」と言っていた彼女が死の覚悟をしているのは最後まで諦めなかったからではないだろうか?ガンジーの言葉「あなたの行動で世界は変わらないかもしれないが世界にあなたが変えられない為の行動なのだ」死は変わらなくとも「諦めなかった自分」と「諦めて無気力で死んだ自分」とでは絶対に違う。最後のシーン重い重力の中で立つライアン。あれはマットとの会話「ここにいれば静かで安全だろ」を思い出す。重力とは生きていくうえでの苦しみや悲しみやしがらみの事かもしれない。娘を失った悲しみと苦しみは決して癒される事はないけれど、娘が与えてくれた幸せと喜びも決して消える事はない。だから地球に帰ってくるのだと思う。たとえ死んだとしても。
[地上波(吹替)] 9点(2021-11-13 19:36:36)
7.  アリー/スター誕生 《ネタバレ》 
最初は敏腕プロデューサーが才能のある女性をスターに祭り上げて利用する話かと思ってたけどそうじゃなかった。アリーの話じゃなくてジャックの「男性版ジャニス・ジョプリン」の物語だった。ジャニスファンの私としては号泣もの。ガガは平凡なウエトレス時代からオーラ全開。「自信がない」と言ってもあのオーラではな~;純粋にキラキラ目を輝かせて力強く前を向いて歩いていく。一方ジャックは才能のあるスターなのにいつも俯いて自信なさげ。去っていかれるのが置いていかれるのが怖くてどんなファンにも要求にも頷いてみせる(プリティウーマンはひどかった;あんな下手な歌手に歌わせるなんて;あんなにラリッてもジャックの演奏は完璧でどんな時にでも「ミュージシャンとして腕は一流」である事が一発で分かる)アリーは写真を撮ろうとするファンを殴りつけてでもジャックを守ろうとする。そりゃあジャック惚れちゃうよ。結局、彼女の足を引っ張りたくなくて逝ってしまう。ジャニスの運命を知っている自分としては途中から「止めてくれ~遠くに去るだけにしてくれ~」と心の中で叫んでいたがダメだったか…チープな物語と感じる人もいるだろうがある程度大人になると分かるんだよ。「自ら命を絶つ人の多くは優しい人」なんだって事が…(T_T)
[地上波(字幕)] 8点(2021-10-02 21:23:38)(良:2票)
8.  栄光のル・マン 《ネタバレ》 
いぶし銀映画でした。確かに脚本はもの足りないが差し引いてもあまりあるリアルなカーシーン。CGでは決して出せない現実感という重み。今じゃ金かかりすぎて決して撮れないでしょうな~午後4時にスタートする時の緊張感はヒリヒリするほど。スターであるマックイーンが優勝する万歳映画じゃなくて個人的には良かったですが、確かにハリウッドではうけなかったでしょう。興行的には失敗したのも頷ける;「男のやる事に女が口だすな」映画という解釈もあるようですが、私はそうは思わなかった。夫を亡くした女性は彼女もレースから離れられないレース人間なのだと思う。夫を亡くしてもマスコミにまとわりつかれても「自分である為に」帰ってきたから。「命をかけるほどのことか」という問いは自分自身への疑問なのだろう。
[地上波(字幕)] 6点(2021-09-05 21:29:36)
9.  ハンニバル(2001) 《ネタバレ》 
「羊~」の続編と思ってみると違和感を覚えた方が大勢いらっしゃるようですが、それもそのはず。この原作は「羊~」の映画でクラリス役を演じたジュディ・フォスターにすっかりノックアウトされた原作者がレクター博士を自分にみたてたクラリスとのラブストーリーなのですから…;それを知ったうえで鑑賞するといろいろ腑に落ちるものがありますね。クラリスの周りの男達の最低っぷりやレクター博士の超人っぷりなどなど(「羊~」でのクラリスが憧れていたのは上司だったのに)二人のラブラブは映画はマイルドになってますが原作を読むと納得です。原作のラストとか「どんだけ~」です;
[映画館(字幕)] 7点(2021-08-21 20:42:03)
10.  ハドソン川の奇跡 《ネタバレ》 
いぶし銀映画でした。ヘタに感動させようとか、過剰な演出があるわけでないのに機長の苦悩が淡々と伝わってくる。望んでもいないのに勝手にヒーローにまつりあげて落とす世間と航空会社。時間軸が結構とぶけど混乱しないのはすごい。 現場にいる人はその時その時に最良の決断をしようと必死なんだよな~にしてもシュミレーションやった人が●●回目って…;大呆れ; (しかもこれから何が起こるか分かっている訳だし調査委員会ひどい;しかもそれがばれたら機長もちあげてごまかしかい~) 機長は最後まで「私だけでなく、みんながいたから助けられた」と決して奢らない態度が光る。 40年間つみあげてきた経験と乗客を助けたいという自分の行動が間違ってなかったと確信できて本当に良かったです。 命を預かる仕事って本当に厳しい…
[地上波(吹替)] 8点(2021-08-02 17:42:09)
11.  パラサイト 半地下の家族
すごい映画を観てしまった…韓国映画を観慣れている人ならそうでもないかもしれませんが、私は衝撃的ストーリーでした。脚本、カメラワーク、俳優の演技、どれをとっても一級で賞をとったのも納得の作品です。ある程度歳をとると感情の波が分かってくる分、半地下の家族の感情が理解できる。どんなに惨めな生活でも家族で支え合い笑いとして昇華して耐えてきた家族。でも、金持ち家族に寄生して見えてくる「現実の格差」が笑いにできる限界を超えてしまう。破綻してくる展開になってから辛かったです。 今、世界中が閉じ込められている気分を味わっています。だから理解できる人も多いはず。閉じ込められていると人間病んできますよね。地下のあの人の凶行はそこから来ている。そして父親の凶行も… 基本、寄生する側って宿主のことを考えません。でも、本当に「寄生」しているのは半地下の家族でしょうか?1%の人間が世界の富の80%を所有している社会的構造をみれば「金持ち家族」が99%の「貧乏家族」の富を詐取している、とも言える訳です。だから宿主(貧乏家族)のことなど考えない。家族がある、過去がある、感情があるとも思っていない。それがあの「無防備」という形で現れているのかも。 ラストはみんな分かっているドリームです。でも、それをみせてくれたのは優しさだったと思います。それが世界にも必要なのかもしれません。
[地上波(吹替)] 8点(2021-01-09 00:50:08)(良:2票)
12.  マッドマックス 怒りのデス・ロード
マッドマックスとタイトルのついた映画は数十年前にテレビ放送を観たきりでそれ以来観ていませんでしたが好きな女優さんにつられて鑑賞。創り上げられた狂気の世界っぷりがすごい。これは他の星の神話なのだと思って鑑賞するとしっくりきました(監督もそのつもりで描いているのではないだろうか?)マックスは彷徨えるヘラクレスでありユリシーズな訳です。そう考えると最後にマックスが去っていくのは必然なのだろうな~
[地上波(吹替)] 7点(2020-09-13 13:09:41)
13.  オルカ 《ネタバレ》 
小学生の頃に鑑賞してショックを受けた作品です。「野生のエルザ」と同じく、私の自然界に対する考え方の方向を決定づけたかもしれません(今の社会視点から観るといろいろ問題があるかもしれませんが) 鑑賞時にラストで潜っていくオルカに対して「オルカはこれからどうなるの?」と今は亡き父に尋ねると「死ににいくんだよ。オルカは哺乳類だから呼吸しないと生きていけない。深く潜るのはもう帰ってこないつもりだよ」と答えが返ってきたのを覚えています。
[地上波(吹替)] 8点(2020-08-09 18:55:22)(良:2票)
14.  MEG ザ・モンスター 《ネタバレ》 
「B級パニックサメ映画」と一言で言ってしまえる映画でしたね~B級パニック映画は映画ではなく、アトラクションと考えて鑑賞すればまあ、そこそこ満足できる(アトラクションなのだから映画館でこそ観るべきなのかもしれない)サメ映画は名作「ジョーズ」があるから製作陣はそれを超える映画をつくるのは諦めているのかもしれません。だから娯楽アトラクションに力いれるしかないかも。それでドンドンでかくなるのかな?メガちゃんの最期ですが「弱ったところを他のサメに食い殺される」のは弱肉強食の自然界を感じさせてよかったです。でもな~でもな~思っちゃうんですよ。名作「ジョーズ」のような上質のサメ映画でないのかな~って;普通の人間が金がないからしょぼい設備で自然界のモンスターに立ち向かわなければならない絶望感と使命感と緊張感が感じられる映画が;金がありふれてますね、と言わんばかりの物量作戦じゃなくて「知恵」で立ち向かう映画がさ~もう一度観たいんだよな~;
[地上波(吹替)] 5点(2020-08-09 18:38:14)
15.  映画 聲の形
鑑賞後に違和感を覚えていましたが、何に対してなのかよく分かりませんでした。他の方のレビューでそれが「社会の問題なのに個々の問題であるかのようなすり替え」をされているような印象のせいではないか、と思いました。いつでしたが障害を持った方が「私は感動製造機ではない」と訴えていたのを思い出しました。社会の問題を「自己責任論」にすり替えて美しいオブラートに包んで誤魔化されたような違和感だったのかもしれません。
[地上波(邦画)] 4点(2020-08-01 18:43:07)(良:1票)
16.  ジュラシック・ワールド/炎の王国 《ネタバレ》 
アフリカ旅行で実際に車の真後ろを象が通った時の感動「恐竜歩いてる~」と思いましたよ。作中で恐竜みて感動している人も同じなんだろうな~と思いました。あまり期待せずに恐竜鑑賞を目的とするならば、まあ、それなり…;にしてもやっぱりいかんよな~恐竜映画をB級パニックしちゃう脚本…;自然を支配できると勘違いして愚行を繰り返す人間の醜さを描きいれたいんだろうけど、他にやり方あるだろ~オークションはいらんのよ。オール島舞台で恐竜をサンクチュアリに移動するプロジェクト話でいいのよ。プロジェクトの困難を乗り越えつつ、その中で各々の野心や立場が交錯する話でいいんだよ;最終的に1頭しか移動させられなかった…人間の無力さを思い知る…みたいなのとか…(舞台を島から移すから緊張感がなくなってしまった。エイリアンも宇宙船という閉鎖空間だからいいように)次回作があるなら熟考求む!
[地上波(字幕)] 5点(2020-07-25 13:19:57)(良:1票)
17.  オーシャンズ8
サンドラ・ブロックとケイトお姉様のカッコよさをひたすら楽しむ映画でした。「45ドルも持っているんだからどこでも行ける」自由を抱きしめて刑務所出て行く姿からノックアウト。ライダース姿のケイト様には思わず「踏んで下さい」と言いたくなりました。 オーシャンズと違ってこちらは全女性グループ。獲物もジュエリー、セレブのパーティー会場とゴージャスずくし。 計画は上手くいきすぎてちょっと肩すかしかもしれないけど(カルティエは女性を警護するのに女性SPをつけないとか)野暮な事は言わないで華やかさを楽しむべし。ちらりと覗く「どこかで女性を見下している風潮」への皮肉が効いてる。 ダフネに対する「胸の大きな女は頭が悪いという偏見」なんてもろじゃないでしょうか? セクハラ問題で風穴開けたハリウッドの女優達に心からエールを送ります。
[地上波(吹替)] 7点(2020-07-11 20:38:39)
18.  カメラを止めるな!
すごく話題になっていた映画ですが、元々「話題に~」の映画とは相性がよくない事が多い私はあまり期待していませんでした。ゾンビ映画、最初の30分をのりきれ、制作予算300万円、役者ギャラなし、の情報で鑑賞しました。 この映画に高評価を与える人はスクリーンに映っている映画だけでなく、制作スタッフ含めた丸ごとの「映画」を愛している人だと思う。監督や役者、脚本、美術、スタントンマンなど裏方の事を考えて観る人達(「この美術スタッフ良い仕事してるな~」なんて思っちゃう方々。映画をエンターティメントとして捉えるか、芸術作品、として捉えるか、の違いかもしれません) そりゃチープなところもありますよ。脚本の筋がしっかり通っているとは言い難い。だけど「才能もお金もなくても映画に対する愛はいっぱい」をこんな風に見せられると心が動いてしまいますよ~ これは「素晴らしい映画」というより「愛すべき映画」のような気がします。
[地上波(邦画)] 7点(2020-02-15 15:13:15)(良:1票)
19.  追憶(1973) 《ネタバレ》 
長い間こんな良い映画を見逃していたのかと悔しい気もするが、「赤狩り」や「迫害と偏見」の意味が分かる年頃になってから鑑賞して良かったとも思う。 「赤狩り」はまさしくナチスの「ユダヤ迫害」にも似た言論闘争と人権迫害の嵐で、チャップリンでさえ「米国追放」(「ローマの休日」の脚本家が偽名を使った話は有名) 命や生活を賭ける程の主義をもたないハベルの言動は、その時代の大多数の人間の姿だったろう。 しかしケイティは無視できない。今では彼女のような勇気ある者が正しかったと分かっているが、当時は非難と罵倒を浴びた。 ハベルもそれが分かっている。「妥協しろ」というが「君は間違ってる」とは言わない。本心は変わって欲しくもない。だから苦しい。 美人ではないが才気と魅力にあふれたケイティはまさにバーブルにぴったり。 ハベルの再婚した妻は美人だが魅力なし;(美人は三日で飽きるぞ~) 「大衆受け」しか考えない今では作れない良質な映画。何よりハベルを演じる男優さんがいないのではないだろうか? 下手な男優が演じると「高給生活にしがみついて良心と妻娘を捨てた上流階級の軽々男」になりかねない; 遅ればせながら、レッドフォードが顔だけでなく「品」のある役者だったのだと気付いた。
[地上波(字幕)] 8点(2020-02-15 14:40:49)(良:1票)
20.  ジョジョ・ラビット 《ネタバレ》 
久しぶりに素晴らしい映画を観賞したな~と思いました。ストーリー自体はよくあるものかもしれませんが、一人の少年の視線を通した「狂った時代」の残酷さを美しい映像と無駄のない脚本で丁寧に映像化していたと思います。「狂った時代」では命や日常がなんの理由も前触れもなく簡単に奪われていく。母親の死さえも。母親の息子に対する思いは「愛」と「恐怖」の混じった複雑なもの(愛する息子であると同時に、レジスタンである自分をいつ密告するか分からないナチなのですから)ですが、ヨハンソンは見事に演じていました。大尉の言動ですが、彼が同性愛者であった事を考えるとよく理解できると思いました。恋人はおそらく常に付き添っていた部下でしょう(羊飼いのシーンで示唆されていました)ナチス政権はユダヤ人の他に同性愛者や障害者も虐殺していました。大尉自身、自分を偽って生きる事を強要されていた一人だったのです。だから勇気をもってレジスタンス活動をしていたジョジョの母親を心の中で尊敬していたと思うのです。最後の戦いで恋人(部下)と死ぬ覚悟で挑むも、恋人だけが死んだのではないでしょうか。だから勇敢に戦って処刑された尊敬すべき女性の息子を命がけで助けたのだ、と思います。大人は子供を守るべきなのに、子供に平気で爆弾を付け、銃を渡すドイツ女性との違いを鮮明に感じました。最後にジョジョの親友が生きていて本当にほっとしました。
[映画館(字幕)] 8点(2020-02-02 11:59:00)(良:1票)
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