1. この世界の片隅に
どこか牧歌的で、穏やかな表現・筆致なのに、そこに清濁併せ持った感情の全てが静かに込められている。 もっと大袈裟に、お涙頂戴的に、押し付けがましい教科書的な作品になってしまいそうな昭和戦時下の日常物語を、こうの史代の真骨頂ともいえる語り口で丁寧・丹念に描ききっている。 こうの史代漫画の神がかり的なバランス感覚は、もう見事としか言いようがない。 10点(2010-09-30 02:19:16) |
2. 珈琲時間
豊田徹也の演出の小器用さと、引き出しの多さを堪能させてもらった。「アンダーカレント」や氏のデビュー作などのキャラクターがちょろちょろと出演している所が、嬉しい。 8点(2010-02-12 17:09:30) |
3. 皇国の守護者
基本的に「戦争モノ」「ファンタジー・モノ」「IFモノ」って苦手なんですが、この作品はハマりましたね。 原作(未読)の素晴らしさとキャラクターの血肉の通わせ方が非常にうまく、舞台設定の巧妙さも面白かった。 残念ながらウルトラジャンプ誌上では打ち切りになってしまい、中途半端な評価しかできない点が、非常に惜しい。しかし、打ち切り作品のピリオドの打ち方としては、上等。 集英社以外の他誌で掲載されていたら、もう少し納得のいくトコロまで描き切れたであろう。個人的には高評価だが、非常に残念。 8点(2008-10-09 20:52:18) |
4. ゴロンドリーナ
今までありそうで無かった、スペインを舞台にした「闘牛」漫画。 主人公は、恋人を失い生きることに絶望したビアン少女と、イワク有り気なヘンクツ中年。とりあえず、今のところ、どのキャラクターにも感情移入できない雰囲気ですが、絵と構成力に華があり、磁力があるように思える。 7点(2012-05-19 01:00:29) |
5. 高校球児ザワさん
《ネタバレ》 「女子野球部員というフェチを楽しむ!」的な謳い文句で注目された作品だが、時折見せるシリアスな回や、グラウンドの土のにおいがしてきそうな描写に、作者のタダモノじゃない気配を感じさせる。腹筋割れ萌えだけでは、決してない。 7点(2012-03-10 00:56:17) |
6. 殺し屋1
好きな漫画ではないが、暴力描写のビジュアル的な印象が強烈。焼肉屋の双子シーン、カラッと揚げられそうになる拷問シーン、中指で一杯の箱、思い出しただけで「痛たたた!」となる。 特に柿原のあっけない末期は印象的。 「タブー」を出来るだけ無視しながらここまでズカズカ描き上げた作者の力量。そこだけは稀有といっていい。 好きになれない作品ではあるが。 7点(2008-06-02 07:14:56) |