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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2517
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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241.  さよならテレビ 《ネタバレ》 
 東海テレビ局内の人々の姿を追った、ドキュメンタリー・・・?   あの「セシウムさん騒動」を起こした局が、視聴率とスポンサーに縛られる中でジャーナリズムの在り方を問い、理想と現実の狭間で苦悶し・・・という世界かと思いきや、ああ、こいつらちっとも懲りてないわ、テレビ屋って本当にダメな連中のカタマリね、でもそんな中にも希望が持てる存在がいたりするのね、と思ってるそばから更にひっくり返されて、もう本当に絶望的な気分にしてくれる映画ね。  でもそれを当の東海テレビ自体が作っているのだから、それは露悪的で、そして偽悪的で。   わりと最初に提示される「カメラが介在した状態でのドキュメンタリーは本当に現実と言えるの?」ってところから、映画はドキュメンタリーとヤラセの間を漂いながらテレビ局の「リアルな虚像」を見せてゆくのね。そこにはテレビ屋の取材対象に対する思いなんてのはスッポリと欠落しちゃってるし、仕方なさに支配された状態を披露してゆくのはひたすら言い訳がましいわ。そしてテレビなんてそんなモンだと披露するところまでがセットになっていて。   映画は最後にこれがそこまで描かれた以上にヤラセでした、と告白してみせるのね。なによ結局は全てが虚飾なの?って思うのだけど、そんな虚飾だらけのテレビって世界の中にチラリチラリと垣間見える真実と本音、それをどう拾って受け止めて、そしてテレビジャーナリズムってものに何を問えるのか、問うべきなのかを考えることになる、そう、これはあえて悪役を買って出たようなモノ。自分達も出来てない、そして他も出来てない、それが浮き彫りになる現実。テレビジャーナリズムはそのままどんどん駄目になって終わるのか。   この映画の他に、ここのところハマってた『チャンネルはそのまま!』のドラマ版や、テレビ朝日の『報道ステーション』大量派遣切りのニュースなど、自分の中でネタが重なってるのだけれど、中でも最も大きなイガイガになっているのが映画にも描かれた「権力の監視」についてね。現在もうテレビジャーナリズムがその点においてほぼ機能していない状態で、既にテレビジャーナリズムは死を迎えているんじゃないか、っていう状態で。それでいいの? あんたたちはそんなクズとして生きていたいの? ってそれは結局市民の側が黙っていちゃダメなのよね。ダメな連中が自分達から良くなる事はないのでしょうから。
[映画館(邦画)] 8点(2020-01-19 11:18:34)
242.  羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来
 あえて不満(難癖?)を言うなら、これを見る前日に見た『幸福路のチー』が台湾の色、空気が濃密なくらいに漂っていたのに対して、この映画からは中国!って空気は希薄だったこと。日本のアニメの記号的表現をそのまま使っている状態で(ジト目とか星目とか)、影響の強さが見て取れて。  そして、そこに描かれる現在の中国の風景もイメージの中にある古い中国とは違って、日本となんら変わらない、近代化された世界。   なめらかに、そして激しく動きまくる画、美しい背景画、魅力的なキャラクター、息も付かせない波瀾に富んだ展開。アニメ映画としても日本のアニメと同じフィールドに存在して全く遜色のない、いえ、むしろ脚本や演出に難ありまくりな我が国の数多のアニメを凌駕してしまうような、そんな作品。今の中国っていう国がどんなチカラを持っているのかが、この1本のアニメ映画に刻まれた文化と技術の面から垣間見えるわ。   描画はシンプルだけれど、登場するキャラそれぞれが個性分けされていて、キャラが立っていて魅力的。単純な善と悪の物語ではなくて、それぞれに理由があってその狭間で選択を強いられる小黒が可愛らしくも健気で。   惜しむべきは日本語字幕がシロウトさんが作ったような状態で、小さく細いフォントで文字が読みづらかったり、表示されるタイミングと長さに難アリで読みきる前に消えちゃったり。吹替版が欲しいところね。とは言えオリジナルの声優さん達は十分に魅力的よ。   今や日本は世界に誇れる国じゃなくなっちゃったわ。技術大国も昔のハナシ。そしてお得意のアニメ(アニメーション、ではなく。その括りだと日本は古くから全く諸外国に勝ててないわ)ですらもその地位を脅かされ始めると恐れざるを得ない作品が中国から出てきたのって、なんか象徴的で、日本のクリエイターはちょっと焦った方がいいと思うの。現状、日本のアニメ界で対抗できるの、個人的には山田尚子監督しかいないと思ってるわ。
[映画館(字幕)] 8点(2019-12-26 19:42:43)
243.  新聞記者 《ネタバレ》 
 新聞を読まなくなって10年近く経つわ。ヤクザみたいな勧誘員が洗剤持って売り付けにくる、紙ゴミがたっぷり挟まってくる、中身もゴミみたいな紙の塊にどれだけの価値があるのかしら? アレって必要なモノ?   コレは嘘つき64歳児、安倍晋三の内閣を元にした映画。語られる幾つものエピソードは実際の内閣のやらかしを引用してるのね。こんなん、大手メジャーが作れるワケもない、コレがメジャーな劇場で公開されたのが奇跡のようにも思えるあたりが今って時代ね。   ただ、この映画を見て「今の日本の内閣はクズよね!」って怒りを燃やしちゃうんだけど、ちょっと待った、この映画はあくまでフィクション。現行内閣の姿を模しているだけ。  現実はマスコミはもっとずっとクズだし(NHKとか読売新聞とか産経新聞とか、ただの政府の犬でしかないわ、ってでも受信料はBS込みで払ってるわよ、それは法で定められた義務だから)、この映画に出てくるような気骨ある人たちなんて今のマスコミには居ないわよ・・・ってところはともかくとして、映画はしょせん作り物。そこに真実がある訳じゃない。  何が本当なのか、何がこの国に起きているのか、それは自分の判断に頼るしかないわ。この映画で語られる「自分を信じ、疑え」こそは今の日本人に必要なスキルなのだと思うの。  この国の政府とマスコミはクズだけど、盲信するのも罪ならば、ただ黙って状況を受け入れているのもまた罪。国は国民が創るものなのだから。  映画はその自らの虚構性までをも利用して、現政権のいかがわしさを超越して、国家権力、マスコミが情報をコントロールし、世論を作り、個人の権利、生命を脅かすようなことがあってはならない、国民はそこをキチンと見ていないと国はどんどん悪い道を進む、と普遍的な警鐘を鳴らしているのね。   『サニー 永遠の仲間たち』や『怪しい彼女』でカワイイのにヘン、って独特な個性を見せていたシム・ウンギョン、正直なところ日本語はたどたどしくてツラめ。だけど力強い演技で存在感を示してるわ。日本で彼女に対抗できる目力の持ち主女優ったら杉咲花くらいかしら?   ラストの議事堂前の桃李とウンギョンのシーンは多くを語ってなくて、あれ、多分絶望的なカンジなのでしょうけど、アタシ的にはあえてあそこには希望が描かれてると捉えたいところね。この映画そのものがそれを信じたいと思っているように。  【追記】ツイッターの「♯新聞記者みた」タグに必死にクソリプ送りつけてるクズ達のせいで、逆にどんどんこの映画の意味が出てきちゃうっていう。日本大好きとか(自称)普通の日本人とか美しい日本を取り戻すとか言ってる連中のやってる事、逆効果。
[映画館(邦画)] 8点(2019-07-05 18:24:15)(良:2票)
244.  メリー・ポピンズ リターンズ 《ネタバレ》 
 今から55年前に作られた作品の、見事なまでの正統な続編ね。あまりにガチガチにイメージを継承しているので、保守的に過ぎるんじゃない?とも思うのだけれども、それだけ前作を大切にしているというディズニーの姿勢の表れなのでしょう。同じディズニーでも過去をブチ壊しまくった『シュガー・ラッシュ:オンライン』とはあらゆる意味で対照的な作品ね。   イメージの継承の姿が最も如実に表れていたのがミュージックホールでのシーン。手描きアニメとの合成なのだけど、そのアニメの線がハンドトレスでもデジタルスキャンでもなく、マシントレスの線のタッチなの。今の技術だったらデジタルでキレイキレイなラインで表現できるのだけれど、そこをあえて擦れたザラついた線で表現してるの。トレスマシンを使ったアニメは省力化の表れって感じでいい印象がないのだけれども(国産のアニメも70年代以降、デジタル化されるまでの間、ずっと、あのザラついた線で描かれていたわけで、例外は『サザエさん』と『シリウスの伝説』くらい?)、その線に泣かされる事になるなんて思ってもみなかったわ。  映像表現そのものはもちろん今のテクノロジーが駆使されているのだけれど、ガチガチのデジタル臭には走らず、アナログ的なスキをいっぱい作ってる状態。   オープニングタイトルからエンドロールまで、いかに『メリー・ポピンズ』であるか、というのに拘った作品。音楽はクラシカル、ミュージカルナンバー一曲一曲はたっぷり時間を取って。今の判りやすいミュージカル映画のスタイル(歌と踊りがそのまま物語の進行に直結してる)ではない、旧来からのミュージカル(歌と踊りが独立した見せ場)の姿なのよね。  ナンバーは前作ほどのインパクトには欠けるように思うのだけれども、それはまだこれから、後年価値が決まってゆくものなのかもしれないわ。普遍性を持った映画として作られているのだから。   あくまで前作を愛してる人のための続編として作られていて、きっと前作と続けて見ても違和感は少ないわ。エミリー・ブラントはジュリー・アンドリュースとはかなりイメージが違うけれども、表情豊かじゃダメな難しい役のメリー・ポピンズを上手く演じているし。   懐かしきディズニー映画の匂いに溢れていて、でも、それが今の若い人達には通用しないとしたら、それは淋しいことね。できれば前作とセットで見て頂きたいものね。
[映画館(字幕)] 8点(2019-02-05 22:40:31)(良:2票)
245.  日日是好日 《ネタバレ》 
茶道の、時間や空間や音を味わう、その贅沢さ、豊かさが伝わってくる映画。   ただお茶をいただくだけなのに、なんであんなに沢山の細かな決まりごとがあって、それをキッチリ守ってゆかなければならないの?っていう疑問に答えるだけじゃなくて、茶道の魅力、そして日本人の精神世界の魅力までをも描いてるのね。   その儀式的な空間、時間、所作は日常から離れた特別な世界。その特別な世界に身を置くことで生まれるココロの広がり。わび、さびの世界。   対比される俗世の描写が、あまりやかましくないのが良かったわ。ハッキリと線引きをしようとやたらガチャガチャさせてしまいそうなものだけど、やり過ぎてしまうと茶道が浮世離れしたモノに映っちゃうものねぇ。『真夏の夜の夢』はやかましかったケド、まあ、良しとしましょう。   黒木華がやっぱりいいのね。  つい最近の『ビブリア古書堂の事件手帖』や一昨年の『リップヴァンウィンクルの花嫁』でも独特な雰囲気を醸してたけれど、今回の役もあの流れ。はんなりした感じが魅力的で。一方で『エミアビのはじまりとはじまり』の時のような、パキパキとハッキリした役も魅力的だけどね。   でも、どうしたってこの人、樹木希林さんなしには語れないわ。  大切なところはきっちり演じつつ、役を少しだけ崩して人間味を醸すような演技、本当に上手いなぁ、って。  あらためて貴重な存在を失ってしまったんだなぁ、ってつくづく残念な気持ち。   今の世の中では、茶道の持つ贅沢な時間を過ごすことはかなりハードルの高いことかと思うけど、でも、映画を見に行くというのも実は似ている面があるのよね。ただ映画を見るだけならば、べつにスマホで配信される映像を眺めてるだけでもいいわけだから。  わざわざ出かけてお金払って決められた時間に決められた席で様々な独自のマナー、ルールに縛られながら映画を楽しむ。それはもう映画って部分だけを切り取って語れる行為じゃないでしょ? まあ、その特殊性が理解できなくて個人主義丸出しになっちゃってる人も(結構な数)いたりするのだけど、そういう人はスマホでどうぞ、ってカンジね。   家から出てスクリーンでこの映画を見る、それもまた贅沢なことなんじゃないかな。
[映画館(邦画)] 8点(2018-11-20 20:02:16)(良:1票)
246.  あなたの旅立ち、綴ります 《ネタバレ》 
 映画は大きく世代の異なる3人の女性を配する事で生を、そして死を対比してるのね。自分を生きること、死を意識して生を全うすること。それまでに生きた、そしてこれから生きる時間の違いが、それぞれの立場の生き方を示してゆくの。その、長く生きたシャーリー・マクレーンの示す道(彼女本人の昔から今に至る写真を見せる事で現実の彼女ともオーバーラップしていて)の眩しさが胸に迫るわ。   物語は予告編から予想されるものから遠ざかることはなくて。こんな映画?ってイメージした通りで、でもその感じが心地良かったり。やっぱり魅力的なキャストに彩られているからこそ、楽しめる映画で。   アマンダ・サイフリッドが好きなんだけど、このところ、も少し仕事を選んだ方がいいんじゃない?って感じで(『荒野はつらいよ』とか『ラヴレース』とか『テッド2』とか)、コレ!って作品に恵まれてない気がしてたのよね(個人的には『ジュリエットからの手紙』が好き)。  でも、この作品は彼女の魅力がいっぱい出てたと思うわ。最初こそ、ちょっと反抗的な態度でアレ?って思うんでだけど、すぐに表情豊かな彼女の魅力が溢れてきて。   そして、それ以上に堂々の存在感を示していたのがシャーリー・マクレーン。今から30年以上前の作品で既に孫のいる役を演じていたのに、いまだあんなにアクティブに動きまわって映画をグイグイ引っ張ってみせるんだから凄い女優。   自分の死を見つめるっていう主題から、逆に受け手は自分の生き方を考える機会になる、そんな映画。
[映画館(字幕)] 8点(2018-09-26 22:19:26)(良:2票)
247.  プーと大人になった僕 《ネタバレ》 
 『くまのプーさん』のキャラはお馴染みだけれども、実のところ、ディズニーのアニメ映画版(短編の3本のヤツ)はそーんなには面白いと思ってなかったのね。それぞれのキャラ、ウザいし。マシントレスのラインが汚いと思ったし。  私にとってはディズニーリゾートで買うキャラクターグッズの方がメインで作品としては別に、みたいなポジションだったわ。   『プーと大人になった僕』のクリストファー・ロビンは常識的でつまんない大人で、ちょっとスピルバーグの『フック』を思い出したり。  それにしても、前半、ディズニー映画にしては陰鬱で暗過ぎない?って心配になっちゃって。コレって子供が見て楽しい映画かなぁ?みたいな。  何と言ってもプーさんがひたすら可哀想なの。何年もずっと離れていたクリストファー・ロビンとやっと出会えたのに、クリストファー・ロビンがひたすらつれない状態で、プーさん、それでも健気で、もー泣けてくるわ。  ちなみにプーさん、アニメ版とはかなり印象が違うわ。ウザさが少なめ。でもいちばん違うのはまゆ毛が無い事。無い方が可愛いわね。あとピグレットもアニメ版より可愛かったかな。ティガーやイーヨーはあんなモン。   で、そこからじわじわと氷が溶けるように広がってゆくモノに、見ているこちらもどんどん心が満たされてゆく感じで。  心の中に甦ってくる、忘れてたキモチ、それが大切だと教えてくれる映画。ほら、プーさんに限らず、幼い頃に大事に思っていた物事ってあるじゃない。大人になるって、それらを忘れたり棄てたりする事、って思っちゃうけれど、でも、それが本当に正しいの?ってね。  だから、これは大人に響く映画だし、プーさんで育った人には更に響く映画だと思うわ。   思ったよりも小さな(ごく狭い範囲の個人的、私的な雰囲気の)映画だったけれど、『くまのプーさん』の世界を大切に大切に描いていて、詩的で叙情的で、じんわりとしみる映画ね。
[映画館(字幕)] 8点(2018-09-19 21:26:28)(良:1票)
248.  響 HIBIKI 《ネタバレ》 
 これ、あんまり期待してなかったわさ。「天才の物語」って、いかにもマンガ由来の絵空事って毎度のイメージでしょ?  マンガの世界はホントに天才だらけ、でも映画の世界がイコールである必要はあるの?みたいな。   で、感想。天上界からやってきたような響の孤高の視点が、常識とか慣例とか体面とか言われるつまらないモノを破壊して、そこに隠されていた創造の悦びが露わになってゆく、そのサマが気持ちいいの。  その破壊が暴力ってカタチで表されるのは短絡的にも思えるけど、でも創作とは闘争である、って明確に主張してるんじゃないかな。   響が書いた『お伽の庭』は実体のない、マクガフィンでしかないモノなんだけど、そこに無限の想像が拓けているように感じるわ。それがどんなものなのか、想いを巡らせるコトができる、っていう。   平手友梨奈が素晴らしい存在感で。喜怒哀楽に乏しい、愛想のない状態でメチャクチャなことをやらかして、でもだからこそ、たまに見せる笑顔がとても魅力的。響ってキャラに相応しい逸材だと思ったわ。   月川監督、『君の膵臓をたべたい』や『センセイ君主』に比べると、大人の世界の描写が多くて、そしてそこがちょっとハリボテ感がしてしまうのが残念。文壇とかマスコミとか描くと途端にインチキ臭いし、何よりつまんない画になっちゃう。さすがに高校生を描く部分はいいのだけどね。  ついでに小栗旬は月川作品ではいつもオーラゼロで登場するのが面白いわね。   小説ってモンを書いた事のある、文字で世界を創造して自分を表現してゆこうと苦心した人間にならばよーく判る世界がそこにあって。最初から最後までのめり込んで意外なくらいに楽しめたわ。   ただ、ええ?それで終わり?みたいなエンドロールの出方っぷり。続編は当然あるのよね?
[映画館(邦画)] 8点(2018-09-19 21:00:58)
249.  SUNNY 強い気持ち・強い愛 《ネタバレ》 
 オリジナル版が大好きで、だからよりによってあのペラッペラに薄っぺらな大根監督の手によってリメイクされると聞いて、マジやめて・・・とか思ったんだけどね。でも、口惜しいけど大根監督で正解だったわ。   民主化運動で時代が大きく動いてゆく韓国を背景にした青春物語だったオリジナル版に対して、この日本版はバブル崩壊後の、元気なのは女子高生くらいのモンだった90年代半ば。長らく平和っちゃ平和で、ただただ流行に、時代に、流れ流されてゆく青春があって。  そのペラペラと軽薄な世界に大根監督の薄べったさがピッタリフィットだわさ。そんな軽薄さが日本のリアル、みんなが生きてきたこの国の1つの時代なんだから。   大根監督のインチキ臭さ、胡散臭さも、あの狂騒の時代にならアリ、だものね。『ラ・ラ・ランド』の出来損ない、なんて形容すらおこがましいくらいの冒頭の長回しにしても、ばあちゃんのわざとらし過ぎ吉本ネタにしても、ステレオタイプなエヴァ好きひきこもり兄にしても、なんとなく許容しちゃえるくらいの感じがしちゃうもんね。   背景に流れる数々の歌もまた、確かにしっかと聴いておりましたともさ!って状態で、いいも悪いもない、その時代を生きた血ってのが今この体ん中流れてるのは事実なんだから仕方ないっての。   日本版は基本的な物語は韓国版をきっちりなぞっていながら、国と時代が違うだけでまるで別物になった感じがあって。エンドロールの違いによって方向性そのものが違ってたりするしね。未来に向かって閉じてゆく韓国版と、過去に向って開いてゆく日本版、どちらが正しいとかも無いしねぇ。   このペラッペラさこそが日本の『サニー』だわ。   広瀬すずが可愛らしい田舎の高校生を演じて、だけどあのイタコはさすがに無理だろー、と思ってたら、イタコとは違うけど、かなり頑張ってたわ。この夏の美少女変顔コレクションとして浜辺美波、橋本環奈と共に脳裏に刻んでおくわね。
[映画館(邦画)] 8点(2018-09-06 22:02:52)
250.  センセイ君主 《ネタバレ》 
 コメディと言うよりギャグタッチのおバカ演技で始まって「あー、このパターンね」って。  浜辺美波の顔芸炸裂、『君の膵臓をたべたい』の儚いイメージぶち壊し!みたいな。   でも、ずっとそのタッチで通しますよ、っていう徹底したノリに乗せられて、そんなヘンなヒロインがどんどん魅力的に思えてきて。  もうね、非常識だとか人間としてあり得ないとか、そういうツッコミが無効なレベルなワケなのね。この映画はそういう世界だって宣言してるのだから。リアルにはこんなヤツぁいないって判ってるから(つーか、そこにひっかかってたらもう見てらんないでしょ)。  気が付けば爽やかイケメンな竹内涼真センセイへの攻略作戦を心から応援しちゃってる自分がいたり。  その上、友人役の川栄李奈が、ヒロインと何故か双子みたいに似ていて(髪型一緒)、仲良しなカンジがとても良くて、魅力的で「なんて楽しい映画なんでしょ」って。   だから先生と生徒の恋愛っていう、リアルならご法度なネタも独立した世界なここでなら成立するっていう。って言っても原作とは違って、現実と創作を区別できない人からのツッコミ炎上を回避すべくキッチリ逃げ道を選んでるんだけどね。   ツイッターに『カメラを止めるな!』をつまんないってコが楽しいって言った映画が『センセイ君主』だった、ってのを揶揄するようなツイートがあったんだけど、好き嫌いだけで言うなら、なんならアタシもコッチの方がより好きよ。人を見下したような映画オタクなんてロクなモンじゃないわ。このテの映画を不要だなんて考えるのは、狭い了見っていうか、一体「映画」の「何」を見てきたワケ?ってね。差別主義者も同様ね。   恋に向かって暴走しまくりヒロインに共感して一緒に突っ走る、おバカゆえの楽しさを堪能できるラブコメディだったわ。
[映画館(邦画)] 8点(2018-08-19 18:22:24)(良:1票)
251.  ペンギン・ハイウェイ 《ネタバレ》 
 遅い夏に公開された、夏を舞台にした少年が主人公のファンタジーって事で去年の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』を思い起こさせて、イヤな予感がしたのだけれども、似て非なるモノだったわ。   もう冒頭からリアリティは排除されて、これはファンタジーです、って宣言から展開してゆく物語は謎だらけ。その様々な不思議が難解な世界を創っているみたいにも思えるけど、でも、それはひとりの少年をめぐるひと夏の経験を彩る(大掛かりな)一要素に過ぎないんじゃないかな。  歳上の女性への憧れを通して(それが「おっぱい」って形に集約されるけど、そんなつもりはないと気取りつつ端々から嫌らしい視点が滲み出ていた『打ち上げ花火~』とは全く違っていて、「おっぱい」をきっちりキーにしてる状態ね)少年の成長を描いていて、彼が過ごした大切な、二度と戻らない夏が懐かしい思い出のようにじんわりしみじみ染みてきて。  そして、その先、少年にはまだ見ぬ世界への精一杯の探究心と無限の未来があって。   中盤にマイナスベクトルのエピソードを重ね過ぎて、もたついてしまうのは残念。スズキくん一味、ハマモトさんの父親、そして森を調べにやってくる大人達(『E.T.』の呪縛は今も続く)、それぞれが物語の流れを必要以上に阻害してしまっている印象で、もっとスッキリと流れていても良かったんじゃないかな。お姉さんがそこに密接に絡んでるワケではない以上はね。   でも、ダイナミズムとスピード感溢れる絵のクライマックスから、切ない夏の終わりに、ああ、いい映画を見た、ってカンジで。  アタシには遠い遠い日の思い出みたいな世界なのだけど、その大切な夏の日を描いた良きアニメ映画だったわね。
[映画館(邦画)] 8点(2018-08-19 17:12:12)(良:2票)
252.  オーシャンズ8 《ネタバレ》 
 ケイト・ブランシェット姐様が最高過ぎるので8点。以上。   だけだと、アレなんで(それだけで十分だと思うんだけどね)、あと蛇足。   『オーシャンズ11』があんまりだったんで、『12』も『13』もマトモに見てないって状態で(BSCSでやってるのを見たような見てないような)、なのでコレもあんまり期待はできないわ、ってカンジだったのだけど、一方でブランシェット姐様をはじめ、サンドラとかアンとかヘレナとか、もうイイ女優いっぱい出てるってのはどうしたって魅かれないワケにはいかなくって。   だけどソダーバーグだしねぇ・・・って何よ、今回ソダーバーグいいじゃん!って思ったらさ、エンドロール見て初めてコレ、ソダーバーグ監督作品じゃないって知ったわ。    中身ナシみたいな映画なんだけど、女優が魅力的で、なんかゴージャスな映像です、ってそれだけで十分だったりするワケじゃん。  スリルとかサスペンスとかがほとんど無くて、計画はサクサク進んで、アクシデントはほんの少しだけ。クライマックスで一応二転三転するんだけど、あくまでプラス方向にしか転がさないんで、なんていうか、呑気な映画。  でも、そのストレスフリーっぷりはなかなか得難いモノな気もして。あえてストレスを排除して、かつ面白さを作るって、意外と難しいんじゃない? それが出来てる映画なのね。   で、なんと言ってもケイト姐様ね。これまでのカッコいいケイト姐様ナンバーワンだった『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』のスパルコ大佐を超えて、この映画のルーはカッコいいケイト姐様更新。まるでヅカの男役トップみたい。サンドラとのコンビっぷりがハマってて、これなら『オーシャンズ9』を期待しちゃえるわ。早よ次。
[映画館(字幕)] 8点(2018-08-13 21:11:10)
253.  レディ・バード 《ネタバレ》 
 重要に思えるエピソードも、そうでなさそうなエピソードも、みんな等価値であるかのようにハイスピードでどんどん流れていって、思い出したのは『勝手にしやがれ』の出だし部分ね。最近だと『15時17分、パリ行き』とか。  そうしてテンポよく描かれてゆくレディ・バードの日常コラージュが、やがて彼女の生きる世界の輪郭を浮かび上がらせて。短い時間で彼女という人間に寄り添い、親しみを抱ける存在に思えてくる、愛らしい映画。   裕福とは言えない家庭、ギクシャクした母親との関係、学校でも色々あって、でもいいことがないわけでもなくて、そんな彼女の日常は、彼女にとっては悩みやストレスだらけだけど、傍から見たら大切な、かけがえのない日々。  彼女を包み込む世界の優しさは、彼女が暮らす、そして彼女が嫌うサクラメントの街に象徴されているようで、彼女が目指す(テロのあった)NYや、中東での戦闘のニュースは、外側の、厳しい現実の世界。  サクラメントは特に街を愛するお母さんの存在を映していて、そこからの旅立ちは彼女の望んだ、でも厳しい独り立ちを示すようで。   楽しかったり、イタかったり、つらかったり、いっぱいの共感がたった94分の中に凝縮されていて、そしてこれからも続いてゆくであろう彼女の日々に、本当はもう少し見守り続けたい、って思わないワケにはいかなかったわ。   シアーシャはなんだか若い頃のジャッキー・アール・ヘイリーに似てきた気がしないでもないけれど・・・(『がんばれ!ベアーズ特訓中』参照のこと)。
[映画館(字幕)] 8点(2018-07-25 21:03:36)(良:1票)
254.  ジュラシック・ワールド/炎の王国 《ネタバレ》 
 「科学を悪用し神を騙った人間が、その手で甦らせた恐竜によって罰を与えられる」っていう、マイケル・クライトンの原作から続く『ジュラシック・パーク』のテーマが、ここまできたって考えると、映画としての成長を感じられたりするのね。だって、今回は映画の心が恐竜側に移ってるから。   恐竜達が火山の噴火によって安住の地を追われる事から始まる受難の物語は啓示的。  抑圧、隷属、そして売買と人間の歴史の中で繰り返されてきた愚行を経て、最後は解放へと至るのだけれども、それを手助けしてゆく善の側のように見えた人間達が、でも最終的には彼らとの共存を望まないワケ。自分達とは別モノとして彼らの絶滅もやむなしと判断しちゃう。  そして、その意志に背いて最終的に彼らを解放する女神は恐竜達と同様に驕った人間の手によって生まれた存在。  これまで従順な存在として人を護ってきた闘士のブルーちゃんは、最終的に支配からの解放を選択する。前作のラストシーンを繰り返すようでいて、でも、全く逆の意味を持ってるの。支配する側の許しを得て去ってゆく前作と、支配する側の意志に背いて去ってゆく今作と。  ブルーちゃんに感情移入して見てきた人間からすれば、このラストはハンパでも、投げっぱなしでも、もにょるものでもない、最高のラストシーン、ラストカットなワケね。   前作は進化した映像以外に見るところはあまりなかった感じがしたけど、でも、今作に繋がる芽を仕込んであったのだとしたら(ラプトル四姉妹の存在ね)、少し見直したかな。  あと、絵的なセンスがだらーっとしていた前作に比べて格段に良かったのね。後半の恐竜館のホラーっぷりなんかはおんなじような絵が多かったシリーズの中では特異な面白さで。   ラプトル界のアイドル、ブルーちゃんと、貫録のレクシー姐さん、悠々自適のモササウルスさんの魅力はもちろん、頭突き恐竜スティギモロクちゃんのいいキャラっぷりや、埠頭のブラキオサウルスの悲しさ、人工的な能力が表出しまくり化け物状態インドラプトルの悲哀等々、モブまで含めて恐竜の個性を強調しまくった今作、アタシにとってコレは今までとは別物(ついでにこれまでビスタサイズを通してきたのに今回シネスコサイズになったのもね)。
[映画館(字幕)] 8点(2018-07-15 09:25:41)(良:2票)
255.  ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 《ネタバレ》 
 昔からスピルバーグが大好きだった訳ですが、最近のスピルバーグはちょっとピンと来なくて『戦火の馬』とか『ブリッジ・オブ・スパイ』とか『BFG』とか、いいのだけれども、でもスピルバーグならばもっとできたんじゃ?って思う事しきり、って感じでした。   この作品も冒頭から続く説明的なモンタージュとか、場面転換時の音楽の繋がり方とか、やたら古めかしいスタイルで、スピルバーグももうトシだしねぇ、なんて思いながら見ておりました。ですが、見ているうちにどんどん面白くなってぐいぐい映画に惹きこまれて。下手に重厚なドラマって形にせず、簡潔にどんどんと話を進めてゆくスタイルが良かったと思います。スピルバーグは人間ドラマ系を撮ると途端に歯切れが悪くなって上映時間が長くなるって印象ですが、これは当てはまりませんでした。早撮りの相棒ヤヌス・カミンスキーの(雑な)カメラも今回はプラスに働いたって感じですか。   トム・ハンクスとメリル・ストリープって人によっては地雷ですよね。でも私はそんなに悪いイメージを持っていないので、この作品での2人の役作りを楽しみました。いつもの善人然としたトムとは違うトム、いつもの個性的なメリルとは違うメリル。   過去の実話を元に娯楽映画に仕立て上げ、なおかつ今の時代に直結するテーマに、まだまだスピルバーグが現役である事を実感しました。今の日本の状況にも符合しまくりな内容、政治家もマスコミも役人も、そして有権者もこの映画が示す道に真面目に向き合う必要がありますね。
[映画館(字幕)] 8点(2018-04-10 20:21:40)
256.  リメンバー・ミー(2017) 《ネタバレ》 
 映画なんて絶対的なモノじゃなくて、受け手それぞれの人生があって、それぞれが受ける印象に違いがあるのは当たり前の事で。   創造性に色々とひっかかりどころがない訳じゃないですが(ピクサー作品が安易に陥りがちな悪役を設定し、それを倒す事で物語を解決に導くとか、音楽を禁じられた主人公が死者の国に行っちゃうメキシカンなCGアニメ映画って事で『ブック・オブ・ライフ』とネタがカブりまくりとか、『ズートピア』や『ベイマックス』を連想させる背景美術とか)、大変に映像のクオリティが高い作品で、歌も英語版、吹替版共にとても心地良く、目と耳で楽しむだけでも十分な映画でした。   でも、最終的に「家族がいちばん」と家族と血族に収束してゆく主題に、DV親父を最期まで介護しなければならなかった不条理さ、邪魔こそすれ、介護を人任せにし続けたクセに父が他界した途端にイニシアチブを取りにくる妹達や、私に1000万円の借りがありながらそれを無かった事にして踏み倒せると思っている叔父や、祖父の遺産を独り占めしてみせた叔母なんて存在を抱えた私としては「それって誰に対しても絶対的なモノってワケではないよね・・・」としか言い様がないのでした。  だから私は疑似家族や家族が再構築される話の方が魅かれるわけで、この映画のテーマは古風というか前時代的かな。家族や血族なんて、棄ててもいいものなら棄てたっていいんですよ。誰にでもそれが本当に大事なものとは限りません。
[映画館(字幕)] 8点(2018-04-10 18:49:54)(良:1票)
257.  先生! 、、、好きになってもいいですか? 《ネタバレ》 
 「先生と生徒の恋愛」っていう、もう絶対NGな題材じゃ、私のご贔屓、さすがの三木孝浩監督でも、どうにもダメなんじゃ?って不安でした。  結果、もうずーっとキュンキュンが止まらない映画で。   全編、ヒロインの視点で描かれてるんですよね。なので彼女にずーっとキモチがシンクロして、先生を好きになってゆく過程がじんじんと伝わってきて。友達との関係も温かく、ヒールになりそうなヨカンな女教師にもドラマが与えられて、ああ、コレは間違いなく三木監督作品の味わい、って。  恋愛話としても、そのくらいにとどめておくのなら、ってバランスでラスト以外は上手く描けていたと思います。ラストシーンは余計だったかな。あと2分くらい手前で終わりにしちゃった方が良かったかも。最後まで行って、先生の価値ダダ下がり。結局そこに堕ちるんか、と。   とにかく広瀬すずがとても綺麗に撮れていて「それはない」ってカットが1つもありません。徹底してこだわって撮ってるんでしょうね。  三木孝浩監督と言えば光の使い方と風情あるロケーションですが、今回の映画もそれを目一杯活かしてます。神がかったライティングのカットがいっぱいあって、目に栄養たっぷりでした。   そして広瀬すずに確実に芳山和子の姿を見ましたわ。もちろん83年の原田知世版の『時をかける少女』。髪型とか弓道とか、そういう表面的な部分だけでなくて。映画の中の少女としてのイコンというかシンボリックな描き方というか。そういう意味で、彼女にとってとても重要な一編。   というわけで、その魅せ方で納得させられちゃうキラキラと素敵なラブストーリーでした。
[映画館(邦画)] 8点(2017-12-03 20:40:07)(良:2票)
258.  猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー) 《ネタバレ》 
 前2作はワリと微妙に感じてたんですよね。結局お猿さんだよね?っていう。それは前シリーズやティム・バートンのアレも一緒で。お猿さんは宇宙人でも怪人でもなくてお猿さんで。   でも、今回は今までよりも点数高いです。迫害されるお猿さんの1作目、内輪モメなお猿さんの2作目から、今作は明確に人間との対立という形になって。お猿さんが特定の民族の象徴ではなく、人類の選択すべき道を示していて、このお話はここまで辿り着きました、という到達点が明確になっています。  破壊と殺戮に囚われた人類と、それに抗うシーザーは旧き人の形を示し、天使に導かれて安息の地を目指すお猿さん達はあるべき人の形を示しています。それは黙示録的で、神話的で。そして選民意識や民族主義に走り排他的な流れに走っている現代の世界情勢に対する啓示のようでもあって、だからこれは今この時代に作られた事に意味がある、その時代を映す鏡として至極正しい映画だと思います。  存続の危機に陥ってなお対立をやめない人類に対して襲いかかる天罰的状況、そこに意識を向けるべきなのです。   天使ポジションのノヴァの色がモノトーンの作品世界の中で希望を示すコントラストとなっていて、美しい絵を創り出しています。彼女が画面に登場するカットは宗教画的ですらあるのでした。
[映画館(字幕)] 8点(2017-11-05 18:24:48)
259.  ブレードランナー 2049 《ネタバレ》 
 記憶の映画でした。   思い出という、その曖昧な存在に拘って生きる事の悲しさ、そしてその甘美さ。総ての人がそうであるように。  登場する多くの過去の記憶(エルヴィスやモンロー、シナトラも)と共に、前作の存在もまた過去の記憶であり、この映画もまた過去の記憶になってゆくという(映画という存在自体が光と影と音が創る幻でしかなくて)、人の記憶についての入れ子細工映画。  印象的な映像の数々(前作に比べてもハンパない寂寥感に包まれています)が、やがて遠い過去の記憶の中のオリのように残ってゆくのだとしたら、それでこの映画は成功という事でしょう。前作がそうであったように。   もう十何年も見ていない前作を復習してから見ようと思っていたのですが、忙しさに結局見られないままに今日を迎えてしまいました。でもそれで良かったのかも。過去の記憶であるからこそ、その間にある時間を実感できましたし。   前作に直結するイメージを持ちつつ、『未知との遭遇』に対するオマージュがそこかしこに見られたのが個人的に嬉しかったです。冒頭、土煙の中に現れる人影や、闇の中のスピナーの回転(もちろんダグラス・トランブルへのオマージュにも直結しております)、坊主頭の子供達に囲まれ、支えられる主人公。『メッセージ』といい、この人はスピルバーグが好きなんだろうなぁ。
[映画館(字幕)] 8点(2017-10-30 22:25:47)(良:2票)
260.  ワンダーウーマン 《ネタバレ》 
 ガル・ガドットはかつてイスラエルで兵役に就き、イスラエルのガザ侵攻をツイッターで肯定したのでこの映画を評価すべきではない、というジャーナリストの文章がネット上に存在しておりますが、果たしてそれが正しい事なのかどうか、映画ファンならお分かりですね。このジャーナリストが言っている事はつまり「そんな女の作った料理など食えるか!」であり、それは十分に差別的発言です。演者のイデオロギーがどうであれ、作品は別のものとして語られるべきであり(この映画がイスラエルを讃えるイデオロギーに塗れた映画でもない限り)、リアルと創作とを同一フィールド上で混同してしまう事の愚かさは子供でも判ります。   一方、ジェームズ・キャメロン監督はこの作品が映画におけるフェミニズムを後退させてしまったと批判しましたが、そもそもジェームズ・キャメロン作品におけるフェミニズムとは『エイリアン2』のリプリー、バスケスや『T2』のサラ・コナーを見れば明らかなように「男こそが上位に存在するものであり、女はそれと同等に扱われていい」と主張しています。彼女達は見事な「男っぷり」を見せます。彼の映画に女性の本来的な上位性を見出す事はできません。   この映画を、そういうジャーナリストや似非フェミニズムのオモチャにさせてはいけません。スクリーンに映し出されたガル・ガドットのワンダーウーマンは優美である、それだけが、そしてそれこそが真理なのであり、私はただそれを支持する、それだけの事です。
[映画館(字幕)] 8点(2017-08-29 19:52:45)(良:4票)
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